マンション購入検討者へ呼びかけ

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「マンションは管理を買え」という。それ如何で資産価値が左右されるからだ。この場合の<管理>概念は、大きく二つに分けることができるだろう。ひとつは、管理会社への業務委託や共用部の水光熱費など日々の生活コストに関わるもの。もうひとつは、同じく共用部の将来的な大規模修理・交換工事への備えである。それぞれの財布を別にし、管理組合をして過不足のないよう見守ることは区分所有建物を所有する者ならではの責務ともいえよう。

マンション居住者の体験談として「管理業務を見直して、管理費を改定した」とはそれほど珍しくない話かもしれない。例えば、24時間有人管理は安心感を得やすく新規分譲時には強い魅力(ウリ)となったが、いざ入居が始まると「一晩中見張る必要ある?」「コストが随分かかる」等という議論がはじまるようだ。だが管理はまだ、暮らしに直結する事柄が中心である。特別、専門性の求められる知識や経験などは多くはないという印象だ。修繕にくらべれば…

15年、30年と先の備えに毎月いくら積み立てればよいか。素人にその妥当性を判断せよと求めることのほうが現実的ではないのかもしれない。しかし、いずれ「そのとき」はやってくる。国土交通省は『マンションの修繕積立金に関するガイドライン<平成23年4月>』の冒頭で次のように呼びかけている。「マンションの分譲段階では、分譲事業者が、長期修繕計画と修繕積立金の額をマンション購入者に提示していますが、マンション購入者は、修繕積立金等に関して必ずしも十分な知識を有しているとは限らず、修繕積立金の当初月額が著しく低く設定される等の例も見られます。その結果、必要な修繕積立金が十分に積み立てられず、修繕工事費が不足するといった問題が生じているとの指摘もあります」。

修繕積立金の目安はいくら?

データ出典:国土交通省

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同ガイドラインにおいて、国土交通省はマンションの修繕積立金の目安を提示している(右図参照)。階数別、延床面積別に平米単価の平均値と(調査の対象となった)実例の三分の二を含有するゾーンを明示。これを見る限り、規模の大きな建物がスケールメリットが発揮しやすいといえそうだ。しかし、タワーマンションとして分類される20階以上は特別な設備を要するせいか、工事環境の違いも影響するのか、単価はやや上がっている。

目安を見る上での留意点として、「この幅に収まっていないからといって、その水準が直ちに不適切であると判断させることになるわけではない」(本文より引用)ともしている。また、それを含めすべてに通ずる注意事項として、建物の形状や立地、共用施設の有無により修繕工事費は変更すること、仕上げ材や設備の仕様によって修繕工事費や修繕周期が異なること、一定期間を設けていても劣化の状況によって工事のタイミングは変動すること、最適な素材の開発により従来の一般的な耐用期間より長期化することがありえること、施工技術の革新で工事費が変わること、入居者ニーズによっても計画は変わること、生活機器やセキュリティの先進性も変更要因となり得ることなど個別性、専門性、業界特性の要因が大いにはたらくことを説いている。

下の円グラフは、事例収集した長期修繕計画の工事費の内訳である。もっとも大きな割合を占めているのが「外壁塗装等18.8%」。タイル張りの建物は関係ないとも思われそうだが、これにも注釈があった。「タイル張りの場合は、一定期間ごとの塗り替えは必要ありませんが、劣化によるひび割れや浮きが発生するため、塗装仕上げの場合と同様に適時適切に調査・診断を行う必要があります」。

データ出典:国土交通省

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段階的に増額する方式から均等に積立てる方式を

データ出典:国土交通省

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修繕積立金は、当初の金額を抑え、段階的に引き上げていく「段階増額積立方式」と将来必要とされる費用を均等に割って積立てる「均等積立方式」があり、国土交通省では後者を推奨している。なぜなら、増額時に合意形成に至らないリスクを抱えることになるためで、現実的に金融機関からの借り入れに頼らざるを得ないケースもあるようだ。

また同省は、マンション購入予定者は販売会社から積立方式について事前によく確認し理解した上で、もし段階増額方式を採用しているのであれば将来的な(住宅ローンの返済など)資金計画に無理がないかも含めて検討する必要があるとし、そうした事前の認識こそが将来の積立増額の際の合意形成を円滑にするとしている。また、例え「均等積立方式」でも見直しが不要になるわけではなく、定期的にチェックし計画の進捗を見守る必要があると呼びかけている。

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