歯周病とインプラント周囲炎
成人の約8割が歯周病だと言われています。口腔内には20,000から30,000種類の細菌が生息し、その中のいくつかの菌が炎症を引き起こし歯周病を進行させます。従来の歯周病治療は、歯石除去と清掃が行われてきました。十分な効果が出ない場合は抗菌剤投与が行われてきましたが、長期間投与すると耐性菌ができ抗菌剤の効果が低下してきてしまいます。インプラントの周囲にも同じ細菌は存在し、その菌が歯周病と同じような炎症を起こすこともあります。それがインプラント周囲粘膜炎です。そして進行して歯槽骨が痩せてしまった状態をインプラント周囲炎と言います。
PDTの治療法
- まずは口腔全体の歯周基本治療を行います。スケーリング、ルートプレーニングで歯石を除去し、歯周病菌の数をある程度減らしてから行わなければ効果がありません。スケーリング、ルートプレーニング、ブラッシングが適切に行えれば、大半の場合歯肉の炎症は軽減し、口腔内細菌数も減少します。この初期治療を行うことなくPDTのみを行っても効果は低くなります。
- インプラント表面は粗造面で骨と結合しています。逆にその粗造面が露出し汚れがついてしまった場合はその汚れを除去しなければなりません。専用ブラシや超音波振動などで徹底的に清掃します。
- バイオジェルという光感受性を持つ薬剤で細菌を染色します。670nmの赤色光を当てると化学反応が起こり、活性酸素を大量発生します。この活性酸素が細菌を死滅させてくれるのです。
歯周基本治療後にバイオジェルを塗布
専用の照射器で光を当てる
PDTの優位性
- 短時間で原因菌を殺菌できる。
- 直接患部に触れることなく殺菌できる。
- 痛みがない。
- 抗生物質耐性菌も殺菌できる。
- 抗生剤を服用しないので新たな耐性菌を作らない。
- 機械的清掃と併用することでバイオフォルムを破壊できる。
- 予防効果も高い。