N-WGNの開発目標は「全ての評価項目でライバルに勝つ」
ホンダN-WGNが軽自動車で初めての衝突安全評価満点となる5つ☆を獲得した。スズキ・ワゴンRやダイハツ・ムーヴと同じカテゴリーの車種ということで、ジワジワ売れ行きが上昇している。安全性だけでなく、クルマとしても相当の仕上がりです。改めてどんなクルマなのか紹介したい。少し前置きを。ホンダは伊東社長体勢になって軽自動車戦略を強化。その第1弾となる背高ワゴンの『N BOX』が、なんと! 軽自動車の売れ行きナンバー1になるという初回満塁ホームランを飛ばす。しかし第2弾の『N-ONE』はデビュー当初こそ話題になったものの、すぐ低迷してしまう。
ホンダ社内でも開発中盤になって「N-ONEは厳しいかもしれない」という意見が出始め、急遽N-WGNの開発を決めたらしい。N-ONEって室内の広さや使い勝手、細かい部分の気配り、燃費などでライバルに届いていなかったからだ。N-WGNの開発目標は「全ての評価項目でライバルに勝つ」だった。
衝突安全性もその中の1つ。98年に軽自動車が一回り大きくなった時も、ホンダだけ重くてコスト高になることを覚悟し、普通車に匹敵する衝突安全性を持たせてきた。「乗用車を買う人も軽自動車を買う人も命の大切さは同じ」というコンセプト。とはいえ当時は普通車に少し届かない点もあった。
その後の技術の進化により、N BOXやN-ONEで「あと一歩」の評価を獲得するに至る。N-WGNの開発担当者は「だったら徹底的にやろう!」。かくして見事5つ☆を獲得した次第。もちろんサイド&カーテンエアバッグや、30km/h以下で稼働する自動ブレーキも選べる。
「まいりました!」とウなる、室内の使い勝手の良さ
燃費も、クラストップの30km/Lを自慢するワゴンRに肉薄する29.2km/L。N-ONEまでのアイドリングストップは車両が完全に停止し、一呼吸してから稼働したのに対し、N-WGNからライバル車と同じく停車する前からエンジンを止めるなど最新の制御としてきた。それ以上に「まいりました!」なのが室内の使い勝手。燃料タンクを車体中央床下に積むというホンダ得意のレイアウトのため、驚くほど広い! 後席は前後にスライドするようになっており、最も後方にセットしたら、ウソ偽り誇張なく2リッター級セダンのリアシートよりレッグスペース広いほど。
普通の軽自動車は前席優先になっているのに対し、N-WGNに後席に座ると至れり尽くせりでウなる。例えば前席の背中にスマホを差し込むポケットが付いていたり、シート下に傘や靴を入れる収納を設けていたり。当然の如く前席だって充実してます。ドリンクホルダーなんか前席分だけで5つ!
それでいて価格を抑えてきた。ベーシックグレードの『G』(価格116万3314円)でも横滑り防止装置VSAやオートエアコンなど標準。128万5715円の『G・A』を選ぶと、自動ブレーキ+サイド&カーテンエアバッグ、HIDヘッドライト、紫外線を99%カットするガラスまで付く。
こうなるとライバルも黙っていない。ワゴンRは2014年8月25日に燃費32.4km/Lの超簡易式ハイブリッド車を追加。ムーヴだって秋にフルモデルチェンジすると言われている。今や軽自動車は激戦区になった。安い買い物では無いので、ジックリと情報を吟味して頂きたい。