(1)建材・設備のメンテナンスの方法についての説明
(2)実際に壁紙と床材を補修する体験会
(3)社外の専門家による収納セミナー
不具合の多くはドライバー一本で改善できる?
まず、「建材・設備のメンテナンスの方法」では、実際にオーナー宅に行って、実務を担当している方にショールーム内の建材や設備を使った説明を受けました。その中で、面白かったのが、「大抵の不具合はドライバー一本で補修できる」ということでした。例えば、サッシのスムーズな開閉がしづらくなったとしましょう。色々な原因があるようですが、多くはサッシを構成する部品が緩んでガタつきが発生しているからだといいます。でも、これはサッシの構造さえ知っていれば、ドライバーで調整することができるというわけなのです。
サッシは部屋に風を入れるために何度も開け閉めをしますから、どうしてもネジの緩みが発生しやすいのです。サッシだけでなく、キッチンの扉や部屋の扉の開け閉めに問題がある場合も、実はこのようなやり方で改善が図られるとのことでした。
次に行われた壁紙と床材の補修も実に簡単な作業でした。材料は、ホームセンターにあるような素材で、決して高価なものではなりません。床のキズなどはクレヨンのような素材を溶かして貼り付けるだけ。それだけで、キズがほぼ目立たなくなりました。
収納セミナーの内容は外部の方のお話でしたのでここでは省きますが、全てで3時間程度の内容でした。その中でいくつか考えさせられることがありました。一つ目は、そもそもなぜこのようなセミナーが必要なのか、ということです。
自らメンテナンス・補修をすることの大切さとは
オーナーは不具合が発生すると、それを重大なものだと思いがちですが、実はそうではないことが多いこと、さらにはその不具合はオーナー自らで解決できることということを、理解してもらうためであると考えられます。ハウスメーカーによる補修作業は決して無料ではありません。大きさにもよりますし、作業の内容にもよりますが、少なくとも材料費にプラスアルファの金額がかかると考えておくべきです。新たな材料費がかかる場合は別として、オーナー自ら作業して不具合を解決できるのなら、メンテナンス費用を抑えることにつながるわけです。
費用の問題だけではありません。自ら手塩にかけて住宅をメンテナンスすることは、「我が家」に対する愛着を深めることにもつながるはずです。それは家族の快適な暮らしや安心安全の長期的な確保、さらには住まいの資産価値を保つことに結びつくわけなので重要といえるのです。
もう一つ考えさせられたのが、住宅というのは引き渡し時に説明すべきことが多く、かつ説明があまり行われてこなかったということ。住宅は、様々な設備機器や建材、素材の集合体です。実はそれぞれに「使い方説明書」のようなものがあるのですが、新築時にそれを読み込むことはあまりないようです。ですから、住み始めてしばらく建った後の方々を対象とした、今回のような講習会が必要となるわけです。
ところで、前述したように、現在は大手のハウスメーカーに限らず、様々な住宅会社が「私たちは末永く皆さんの住まいの面倒を見ますよ」といっています。そのためのシステムも用意しているのが一般的です。しかし、本当にそれだけで納得していいのでしょうか。
そんな表面的なことではなく、実際にどんなサービスを提供しているのか、内容まで踏み込んで確かめるべきということです。今回のようなイベントに参加してみることは、その判断材料になるのではないでしょうか。とにかく、メンテナンスのあり方は住宅の長期的な満足度を左右することですから、その点も含めて住まいづくりを検討していただきたいと思います。