ハウスメーカーにはどんなメンテナンスの仕組みがあるのか
先日、私は大成建設ハウジングがオーナーさん向けに開催した「住まいと設備のメンテナンス講習会」を見学・体験してきました。ちなみに同社は大成建設ハウジングは大手ゼネコン・大成建設のグループ企業で、プレハブ系コンクリート住宅を供給している会社。コンクリートならではの丈夫さ、個性的なデザインによる快適な住まいに高い定評のある会社です。さて、講習会の内容をご紹介する前に、まずハウスメーカーがどのようなメンテナンス、あるいはオーナーサービスの体制をとっているのか、について書いてみたいと思います。前提となるのが長期間にわたるメンテナンスシステムです。現在、ハウスメーカーの多くが用意しています。
例えば、大成建設ハウジングには「60年安心サポートプログラム」というメンテナンスの仕組みを有しています。これは、5年ごとに構造躯体の様子や雨漏りなどの不具合の有無を点検(30年目と45年目は有料)し、オーナーに報告。必要であれば補修を行うというものです。
少なくともこのようなシステムがあることによって、それぞれの住宅が安全で健全な状況なのか、オーナーは理解でき、それにより安心感を得られるわけです。現在の住宅と30年前に建てられた住宅には大きな違いがありますが、その一つはこのようなメンテナンスの仕組みが用意されていることです。
この仕組みを支えるのは、メンテナンス専門の部署に所属する人たちです。彼らの仕事は、「住宅に不具合がある」と連絡を受けたお施主さんの自宅におもむき、必要な作業を行うというのが主な内容です。また、もしオーナーがリフォームを希望する場合などには、リフォーム部門に取り次いだりもします。
一昔前と現在のメンテナンスの考え方は大きく違う
さて、かつての住宅は、各オーナーのお世話をした営業担当者がメンテナンスに関連する仕事(少なくとも窓口業務を)も担当していました。ただ、このような場合、往々にしてサービスが行われるまでに時間がかかるなどサービスの質は高くありませんでした。また、メンテナンスの体制がオーナーと営業担当者の関係に左右されがちなことも問題でした。メンテナンスの専門部署があることで、関係性が維持され、さらに連絡の混乱が無く、オーナーは迅速にサービスを受けられるわけです。最近は、ハウスメーカーの多くがオーナー専用のホットラインとなるコールセンターを用意しているケースも増えています。
前述したようなメンテナンスの状況は、20年、30年前の住宅業界では「住宅は売ったら終わり」が常識だったことに由来します。大手のハウスメーカーでさえ例外ではありません。ましてや、30年前に地域の住宅会社で建てたオーナーが、現在もその会社とつながりがあるケースはどれくらいあるでしょうか。
中には、倒産や後継者不在で今はもう存在しない会社さえあると思います。このようなことは、住宅を長く健全に保ち、オーナーが住み続けることを難しくしますし、資産価値を保つことを阻害することになります。実は、そのことは悪徳リフォーム会社の跋扈(ばっこ)にも関連があります。
まぁ、皆さんには難しいことは別として、今の住宅の世界ではメンテナンスやオーナーサービスが、住宅会社の善し悪しを推し量る重要な項目の一つであるといいうことを、ここでご理解いただけると良いと思います。
さて、今回、私が取材した講習会も大成建設ハウジングのメンテナンス部門が主催したものです。次のページでその様子や内容について詳しくご紹介し、住宅のメンテナンスの大切さについて考えていきたいと思います。