ママが知りたいのはアタッチメントの本当のところ
アタッチメントの将来への影響力はどれくらいなのか?
この記事では、現在分かっている情報を総合した「アタッチメントのリアルな影響力」についてお知らせします。
イギリスでのメタ分析で分かったこと
最近、イギリスで、過去の69ものアタッチメント研究を統合し、総合的な分析がなされました。これには、6000人以上の子供達(12歳以下)のデータが含まれました。総合分析することで、よりリアルなデータに近づけることが目的です。その結果、まず、「アタッチメントと将来の行動パターンにつながりはあるのか?」という大枠のポイントについては、明らかに「Yes」という回答が導き出されました。
つまり、アタッチメントが弱いと将来の問題行動につながりやすい、逆に、アタッチメントが強いと将来の問題行動にはつながりにくい、というリンクです。
これは多くの方が「やはり!」と思う回答だったと思います。強いアタッチメントは将来の問題行動を未然に防ぐ効果があるというわけです。
男女差が見出されたポイントとは?
次は、アタッチメントの強弱が、その子の将来の「攻撃性」や「敵対心」の芽生えにどれだけ影響するかについてです。このリンクについては、男女差があることが見出されました。男の子の方が影響が出やすいことが分かったのです。つまり、母親とのアタッチメントが弱い男の子は、後々、問題行動につながりやすく、それは何年も後になって出てくることがある、ということでした。
『DVが子供の発達に与える影響』の記事でも触れましたが、すぐに影響が出るのではなく、期間を置いて影響が発現することをスリーパー・エフェクトといいます。幼少時のアタッチメントとその後の攻撃性の間には、スリーパー・エフェクトによる空白の期間が存在する場合があるのです。
アタッチメント強化は何歳からでもできる
今、幼少期のお子さんをお持ちのママは、これを読んでアタッチメントの大切さを再確認なさったのではないでしょうか。アタッチメントはこれで100%ということはないので、ぜひこれを機にさらなるアタッチメント強化に励んでいただければと思います。また、アタッチメントの強化は、もう少し大きなお子さんをお持ちのママでも、もちろんOKです。アタッチメントは0歳から作られるものですが、何歳になっても作ることが出来るものであり、これでいいということはないからです。
この研究は母親とのアタッチメントを取り扱ったものでしたが、子供は、ママだけでなく、パパ、そしてそれ以外の人々ともアタッチメントを作っていけるもの。これまでのアタッチメントに関する記事(*)にも書きましたが、より多くのアタッチメントを広げておくことは、その子の心の安心につながります。
子育てで何より大切なのは、アタッチメント作り。これこそが、育児の究極の目標とも言えるかもしれません。だから、育児でつまづいたときは、基点に戻って、アタッチメント固め。そうすることで、育児がうまく回り始めることが期待できます。
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*出典:Child Development(2010)「The Significance of Insecure Attachment and Disorganization in the Development of Children’s Externalizing Behavior: A Meta-Analytic Study. 」より