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鬼才ピアニスト、ファジル・サイ日本初演インタビュー(2ページ目)

ファジル・サイと言えば、孤高の鬼才ピアニストとして知られますが、作曲家としての活動もますます盛ん。2014年秋にはなんと交響曲の日本初演も行われます。演奏家であり作曲家であるとはどういうことなの? 独特の演奏の秘密は? インタビューしました。

大塚 晋

執筆者:大塚 晋

クラシック音楽ガイド

演奏家であり作曲家であることについて

大:『イスタンブール交響曲』が象徴的ですが、サイさんは今やピアノ曲の作曲に留まらず、本格的な作曲家の道を歩んでいますね。

サ:そうですね。オーケストラ曲の作曲では当然オーケストレーションを全部するわけですから時間を取られます。もちろんピアノ演奏も変わらず行っていますから、忙しくはありますが、常にベストを尽くすだけです。

今までに書いた3つの交響曲も、一つひとつ成長していっていると自分では思っていますので、日本でもっと他の曲も演奏される機会が増えると嬉しいですね。1つ目が今回の『イスタンブール交響曲』。2番目が『メソポタミア交響曲』、3番目が『ユニバース交響曲』です。

大:作られる曲は母国トルコがテーマになっているものが多いのですか?

サ:語りたいことが大事なのであって、必ずしもトルコのものを書きたいわけではないです。イスタンブール交響曲はイスタンブールについて書きたかったので、そうであれば100%の説得力を持って書く必要があり、トルコの楽器も用いました。テーマがニューヨークやシドニーであれば、それぞれに語りたいものがあり別のものになります。ですから、トルコのテーマや楽器の使用が必須のこだわりということではないです。

トルコがテーマの場合ですが、トルコの伝統的な音楽は西洋の音階と違うのです。私は楽譜を西洋の音階で書いていますが、ある時は西洋的なロマン派的和声で、ある時は無調性的です。ストラヴィンスキーの民族音楽の取り入れ方に似ているかもしれませんね。色々な要素を入れていますけれど、聴きやすいと思います。

大:確かにトルコ音楽を交響曲にしたというより、インターナショナルな普遍性をもったトルコ音楽という感じですね。しかしピアニストでありながら作曲もする、というのは二足の草鞋で本当にすごいですね。

サ:確かに時間の使い方的には大変ですが、5歳の時からピアノと作曲を同時に行ってきました。ですので、両方するのが当たり前になっています。この5年ほどは大作を作っていたので、ツアーに出て演奏して、翌日の空き日は1日中、作曲し、また翌日は演奏し、次は移動途中の空港で作曲して……というような生活でした(笑)。
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