ルール6:貧富の差を大胆に描く
札束
ルール7:猛烈なスピード感
破綻、転落、「えっ、えぇ~」と主人公の人生は猛スピードで展開していきます。登場人物がすでに激変していて、その過程が後付けなんてこともしばしば。じっくり考えないよう誘導する昼ドラは、不条理な人間に腹を立て、更生を望む余裕を与えません。昼ドラはドロドロではあるものの、ドロドロを掘り下げて見るドラマではないようです。ルール8:めんどくさいことが好きな登場人物
人は基本的に面倒なことが嫌いです。面倒なことには関わりたくありません。ところが昼ドラの登場人物たちはめんどくさいことを相当好みます。脈なしの好きな人のところに出向くとか、恋敵に挑戦的なことを言いに行くとか、恋敵を不幸に落とし入れる罠を仕掛けるとか。迷惑甚だしいその行為が「ドラマ」を生むのですが、めんどくさい昼ドラは他人事だけに愉快です。
面倒なことは嫌いだけど面倒な人を見るのは面白い、という視聴者心理を熟知しているとも言えます。昼ドラ恐るべし。
ルール9:昼ドラを支えるのは視聴者のバランス感
この記事を書きながら「人は爽やかなドラマばかりを見たいわけではない」と改めて感じます。ハリウッド的スケールの作品ばかりを見たいわけでもありません。時にドロドロした他人の不幸を覗き見たいようです。ただし陰湿ではなく、視聴者は至ってカラッとしています。「切羽詰まった不幸」ではなく「あり得ない不幸」だからこそ、どっぷり浸かることなく視聴できるのです。
登場人物が呪縛されるほど、視聴者は距離を保ち視聴する。それはとてもいいことです。後味が悪いままでは、買い物、夕飯の準備を控えた午後を過ごす気になれないですし、感情移入で号泣しているところにランドセルを背負った子どもが帰宅、なんてのも困ります。
そんな風にならない昼ドラの楽しみ方を視聴者は心得ているのです。この視聴者のバランス感こそが、昼ドラの歴史を支えているのでしょう。
もちろんハートフルな昼ドラも忘れてはいけません
どこか媚薬的な匂いのする昼ドラですが、その効用はおそらく登場人物のみ。視聴者にとっては奇々怪々で滑稽な世界、昼ドラは独自の文化を育てていると言っていいかもしれません。もちろん、春休みや夏休みに夢中になった『キッズ・ウォー』や『天までとどけ』といったハートフルな作品も忘れてはいけませんね。