オリックス戦の開幕からの連敗を9で止める
2回1/3で2安打無失点無四球の5奪三振での初白星を挙げた。
2対0で迎えた五回二死一、二塁。大久保監督代行は、あと一死で勝利投手の権利を得る先発・宮川を降板させ、松井祐をマウンドに送った。「抑えたら勝ちが付くかも」と森山投手コーチは登板するルーキーに囁いたが、これこそ新指揮官の“親心”だった。
その期待に見事応える。ペーニャに対して123キロのチェンジアップを投じ、タイミングをうまく外して二ゴロに仕留めると、「よっしゃ!」と叫んでベンチへ全力疾走だ。その後、六回から七回先頭の中村まで4者連続三振。その七回に二死一、三塁のピンチを招いたが、首位打者・糸井を高めのストレートで空振り三振に斬って取った。2回1/3で2安打無失点無四球の5奪三振での初白星。ヒーローとしてお立ち台に立つ資格は十分にあった。
「嬉しいの一言です。先発としてたくさん迷惑をかけたので、これから巻き返していきたいです」
4月はデビューから4試合で先発を任されたが、計19回1/3で24与四球と制球難に苦しんだ。勝ちたいという思いが強過ぎて、思えば思うほどリリースポイントが横になり、フォームを崩した。「嶋もリードのしようがない」、「めちゃくちゃ高い授業料を払っている」と星野監督から苦言を呈され、「ピッチングのABCからやってもらう。ストライクが入るようになるまで」と4月24日に二軍落ちを言い渡された。
その二軍では、大久保二軍監督らの指導のもと、リリースポイントを安定させ、あえて中継ぎで登板させることにより、課題だったクイック投法の改善にも取り組んだ。一軍に復帰後の6月19日広島戦では4回5四球とまだ結果は出なかったが、首位・オリックスとの大一番でこれ以上ない結果を出した。「二軍で成長を見てきている。どん底も見てきた。三振を取れると思って使っている。ストライクさえ入ればいい投球をする」と大久保監督代行。二軍生活で苦楽をともにしてきた指揮官だけに喜びもひとしおだ。
「辛い時期もあったけど、先輩たち、監督、コーチの方々がいろいろアドバイスをくださった。関わったすべての人に感謝したいです」
松井祐の言う「関わったすべての人」の代表格である星野監督に試合後、直接電話で報告すると「まだまだ、これから。もっとしっかりやれ!」と活を入れられたルーキー。「監督が(腰痛での休養から)帰ってくるまで、しっかりいい投球をして迎えられるように頑張ります」と目を輝かせながらも気を引き締めていた。