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社会人になり太った人に読んで欲しい、肥満の怖い話

肥満は、喫煙やアルコールの飲み過ぎと同じようにカラダを蝕みます。将来、心筋梗塞で突然死したり、脳梗塞で介護が必要な状態になったりするような大きな健康トラブルになる可能性がたかくなる肥満。肥満がもたらすカラダの変化をまとめました。

菅原 道仁

執筆者:菅原 道仁

医師 / 家庭の医学ガイド

 社会人になって太りやすくなる理由

私たちは経験的に、年齢を重ねるにつれて太りやすくなると知っています。この現象が起こるのは、だんだんとカラダが衰え、筋肉量が低下してしまうからです。しかも年を重ねるごとに美味しいものを知ってしまい、慢性的にカロリー摂取が増えて、カラダに脂肪がついてきます。

肥満で心臓が止まってしまう!?

体重が増えるとカラダにどのような変化をもたらすのでしょうか?

2009年3月、東京マラソンでタレントの松村邦洋さんが心停止をした事故を覚えている人は多いと思います。15キロ地点手前で松村さんは急に足を止め、後ろにひっくり返るように路上に倒れ意識を失いました。近くの医師がAED(自動体外式除細動器)などで緊急処置を施し一命を取り留めた、あの事故です。診断は急性心筋梗塞。このような事故はどうして起こったのでしょうか?

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肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常といった病気と密接な関係があり、血管を老化させます。

164cmで100kg以上ある松村さん。肥満の人は、脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン (生理活性物質) の 1つである「PAI-1」の濃度が高く、血液を固まりやすくしてしまいます。PAI-1濃度が高い肥満の人が、慣れていない激しい運動をすると、急激に血液が固まり、血管をつめてしまいます。もし、心臓の冠動脈が詰まれば松村さんのような心筋梗塞という病気になり、もし、頭の血管が詰まれば、脳梗塞という病気になり後遺症が残ってしまいます。

肥満は動脈硬化の原因!

血管の老化である動脈硬化のほとんどは、生活習慣の乱れによるものであり、その第一歩目の象徴が「肥満」なのです。肥満の人は、高血圧、糖尿病、脂質異常になる可能性が高くなるので血管を痛めつけ、詰まりやすくなります。

肥満はそれだけではなく、骨や関節に負担をかけるので、慢性的な腰痛や膝痛の原因にもなります。腰痛や膝痛がひどくなると、ますます動かなくなり、カロリー消費が少なくなるので、更に体重が増えるという悪循環になります。

肥満の判定方法

肥満の判定は、身長と体重から計算されるBMI という数値で行われています。これはBody Mass Index(肥満指数)の略で、体重(kg)を身長(m)の二乗で割り算して算出する指数です。このBMIが25を超えると、医学的な肥満と言えます。ちなみに、松村さんは少なくともBMI35を超えているので高度肥満という診断になります。

肥満は、喫煙やアルコールの飲み過ぎと同じようにカラダを蝕みます。

私たちの適正体重は、身長で決まります。年齢で決まるわけではありません。年をとったから太ってもいいという理屈は通用しません。将来、心筋梗塞で突然死したり、脳梗塞で介護が必要な状態になったりするような大きな健康トラブルに巻き込まれたくないのであれば、動脈硬化を進行させず血管を若く保つことがなによりも重要です。そのためには、今日から体重管理を心がけてください。

ちなみに、女性がよく言う「最近、太ったの!!」という場合は、多くはBMIが25を超えているわけではないのでご安心を。


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