住宅リフォーム/リフォーム事例~Yuuのリフォーム現場から

リフォームの現場から~動物と暮らすということ(2ページ目)

これはちょっと違う?と思うような動物と暮らす家のプランを見たことがあります。今回のリフォーム事例~Yuuのリフォームの現場からは、動物と暮らす家に必要なことについてです。

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド


増えている室内飼いだからこその病気や怪我

住宅の屋内の床はほとんどがフローリングだが、動物たちには滑る。

住宅の屋内の床はほとんどがフローリングだが、動物たちには滑る。

最近の住宅の床はほとんどがフローリング張りです。このフローリングが動物たちの病気や怪我の原因になっています。

フローリングは動物たちには滑ります。肉球だけではふんばりがきかず、爪が伸びていれば更に滑ります。

転んで骨折するなどの直接的なケガだけでなく、踏ん張るので股関節に負担が掛かり、股関節脱臼や腰を傷める原因になっています。

 

ペット用フローリングのコンセプトに滑りにくいがプラス

滑らない&アンモニアにも強いという、動物も人も快適な製品が増えた。

滑らない&アンモニアにも強いという、動物も人も快適な製品が増えた。

我が家の二代目の犬も、子犬の頃、1か月ほどフローリングの上で生活した後、犬のプロに後肢を触られた瞬間、「フローリングの上を歩かせているね」と見抜かれました。たった一ヵ月で、踏ん張りが原因で、がに股になっていたのです。

そういうこともあり最近のペット用フローリングのコンセプトには、滑りにくいというものが加わってきました。少し前まではペット用フローリングと言えば、「掃除がしやすい」という人間目線からの製品でしたが、現在では「滑らない&アンモニアにも強く掃除がしやすい」という、動物も人も暮らしやすいよう考えられた製品が増えています。

 

キャットウォークの罠

キャットウォークは人の手が届く範囲にしておくことが大切。

キャットウォークは人の手が届く範囲にしておくことが大切。

動物の習性をよく考えたつもりであっても、陥ってしまう失敗もあります。猫は縦の動線=上下運動がストレス解消になるということで、猫と暮らす家でよく見かけるのが、キャットウォークがある家です。(ちなみに、犬は横の動線=走ったり歩いたり散歩などの平行移動がストレス解消になります。)

しかし、以前にAll Aboutの猫のガイドさんと話した時に盛り上がったのが、頭上はるか上、吹き抜けにある梁をキャットウォークにするプランの問題点です。

猫はグルーミングと呼ばれる身体を舐める行為+それを吐き出すという習性があります。もし梁の上で吐いたら?掃除しようにも、長ハシゴでも掛けないと届きません。何より、その時に下に人がいたら?実際、頭の上から降ってきて大騒ぎだったという家がありました。

キャットウォークがあれば猫が幸せなのは間違いありませんが、そこから先もう一歩、生活に寄り添ったプランが大事だと考えさせられる事件でした。

 

人の夢ばかりが膨らんでしまっているプラン

犬は身体が濡れると、転げまわって身体をこすりつけたり、水を振り払おうとしたりする。

犬は身体が濡れると、転げまわって身体をこすりつけたり、水を振り払おうとしたりする。

動物との楽しい暮らし、夢いっぱいの暮らしを形にしたけれども、人の夢ばかりが膨らんでしまい、現実味が無いプラン、というのもを見かけたことがあります。

以前、動物と暮らす家の監修を依頼された時のことです。ベースのプランがあるので、それを見て欲しいとのことでした。見ると、動物と暮らす楽しさが、あちこちに散りばめてある夢いっぱいのプランではあるのですが、正直首をかしげる部分もありました。

例えば、犬や猫と一緒に入れる、庭に設置されたデッキバス。猫と一緒に裸でお風呂に入るなんて、血まみれ覚悟です。だいたい屋外ではどこかに走っていってしまいます。

犬はどうかと言えば、犬がお風呂上がりに、のんびり庭でくつろぐわけもなく。バスタブから飛び出したら、きっと芝生で体中をこすりつけて転げまわって、ますますドロドロになることでしょう。それに抜け毛の始末と排水はどうするのか……などなど。

夢を与えるモデルケースの作成でしたので、あまり現実的なことは言いたくなかったのですが、人の夢ばかりが膨らんでしまい、人も動物も幸せに共存するというところから少し離れてしまっていると思い、あーでもないこーでもないと試行錯誤した記憶があります。

 

人も動物も幸せであるように

我が家の猫は今日も壁で爪を研いでいる。

我が家の猫は今日も壁で爪を研いでいる。

人と動物が共存していくためには、動物の老後の問題もあります。長生きすれば、病気になったり寝たきりになったりすることもあるでしょう。最近では、老犬の介護ホームもあります。

一般社団法人ペットフード協会の調査によると、平成25年度の犬の平均寿命は14.2歳、室内飼いの猫の平均寿命は16歳だそうです。これが長いと感じるか、短いと感じるか、人それぞれでしょう。

どちらにしても、ガイドYuuは今から30年近く前、動物と幸せに暮らす家を作りたいと願ったあの時から変わらず、これからも人と動物が幸せに共存できる家づくりについて考え続けていきたいと思っています。

ちなみに、同協会の調査によると、生活に喜びを与えるものとして多くの人々がペットをあげています。私自身も、我が家の犬も猫、そして熱帯魚たちに幸せと喜びを与えられ、その存在が仕事をする大きなエネルギーの源となっています。

 


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