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石巻の仮設住宅の暮らしとボランティア

仮設住宅において、見ず知らずの人たちが集まってどのように信頼関係を築いていったか、そして支援するボランティアの役割は?震災から3年経った石巻の仮設住宅を取材しました。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

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仮設暮らしの苦労、ホントのところ

2014年6月18日、宮城県石巻市の仮設住宅を訪問する機会を得ました。東日本大震災から3年あまり経ち、仮設住宅に入居された方々も、そこでの暮らしが3年経とうとしています。

石巻市南境第5団地はカラフルな絵で飾られていました

石巻市南境第5団地はカラフルな絵で飾られていました


被災し、生まれも育ちも異なる人たちが急きょ集まって暮らすということは、想像もつかない大変な苦労があったのではないでしょうか。仮設での暮らしはホントのところどうだったのか、仮設住宅の自治会で会長を務める大嶋美千代さんにお伺いしてみました。

面識のない人同士の集まり

南境第5団地undefined自治会長の大嶋美千代さん

南境第5団地 自治会長の大嶋美千代さん

今回訪問した南境第5団地は、宮城県石巻市南境地区にある8つの仮設団地のうちの一つです。全66棟の比較的こじんまりとまとまった規模で、団地の中には集会場があり、自治会もあります。大嶋さんは、この自治会で会長をされています。

震災から4か月後の平成23年7月7日、抽選で当たった50世帯が集まり団地にて生活をスタートしました。面識のない人が集まったため、仮設の説明会で初めて顔合わせをし、まずは挨拶をするところから始まりました。

ボランティアによる支援でイベントを開催

ボランティアが作ってくれた看板

ボランティアが作ってくれた看板

仮設住宅に住み始めたころ、ボランティアの学生さんが毎日のように来て、集会場に本棚を作り、座って休めるベンチを作り、壁画を描くなど住環境の整備を担ってくれました。

また、サポートを受けながら、会費制で住民参加のバーベキュー大会、カラオケ大会などを開催したところ、そのイベントを通してみんなが顔を出してくれるようになり、イベントを重ねることで、住人同士が顔を合わせ、本音を話せる環境を作り、住民同士のきずなはどんどん深まっていきました。

気配りができる女性を多用

住民同士のきずなが深くなっていったのは「自治体がうまく機能しているから」ということが大きいと思います。ここ南境第5団地の自治会組織は、会長の大嶋さんはじめ女性の多い構成となっており、男女比は4:6。実はそれがヒケツで、女性は気配りができるため、大勢の人をまとめるのに向いているということでした。もちろん、男性にも必要なところでは力を借り、副会長や防災係などは男性が担い、男性も女性も助け合って仮設での暮らしを支えています。

きずながあれば問題は起きない

プランターに植わった花が仮設住宅に彩りを添える

プランターに植わった花が仮設住宅に彩りを添える

南境第5団地では自治会を中心として住民同士が良好な関係を築くことに成功しました。それぞれが主体性を持ち、当事者意識を持っているため、例えば掃除当番を作らなくても、看板を立てなくても、できる人が自主的に清掃を行っているとのこと。

共用の花壇がありますが、当番などを決めなくても誰かが花を植えるそうです。また高齢の方、寝たきりの方には日ごろから声を掛け合い、炊き出しがあれば持って行くなど、お互いに目を掛け合い、助け合う心が育っています。そのような環境の中、これまで大きなトラブルも発生していないということも、うなずけます。

次ページでは仮設住宅で結束を固めることに成功したリーダーシップのコツをご紹介します。

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