積水ハウス、HONDA、東芝がコラボ
まず、実証実験ハウスができた背景について説明します。同ハウスはさいたま市内にあります。さいたま市ではスマートハウスなど次世代住宅の技術を取り入れた街づくりを検討・推進しており、2011年5月にはHONDAとは家庭内のCO2削減を目指した「E-KIZUNA Project協定」を締結していました。ここでは現在までの約2年間、HONDAが電気自動車などを含めた次世代住宅のあり方(具体的にはHONDA独自の「スマートハウス」)を実際に建物を建てて研究していたといいます。その建物ではHONDAの社員が実際に居住し、現在も居住を続けながら様々な研究をしているそうです。
今回ご紹介する実証実験ハウスは、その建物がある場所に隣接しており、参画している3社による2020年を見据えた最新技術や提案が盛り込まれているのが特徴です。ちなみに、この3社は「東京モーターショー2013」(昨年11月末から12月初旬に実施)に三社合同で出展したという経緯があります。
では、具体的に実証実験ハウスをみていきましょう。建物は3階建てであり、完全分離型の二世帯住宅(1階が親世帯、2階・3階が子世帯)となっています。そこには積水ハウスらしい様々な提案が盛り込まれていました。例えば断熱性。窓ガラスには従来の建物(HONDA社員が暮らす研究棟)より10%断熱性をアップさせるトリプルガラスのサッシなどが取り付けられていました。
1階はガレージ入口も含め自動電動開閉式となっており、さらに床もガレージを含めたフルフラット化されていました。これはHONDAのロボット技術を採用した歩行アシスト用のパーソナルモビリティ「UNI-CUB」向けの設えです。ちなみに見学会では、高齢者や足に障害がある人たちの歩行を体験できる器具を取り付けて、その使い心地を確かめることができました。
センサー技術により自動で室内環境をコントロール
これは「UNI-CUB」のような最先端技術を、実際の生活シーンの中でその使い勝手や安全性を検証しようという試みなのです。いくら便利で機能性が高いモノであっても、机上で使い勝手の良さや安全性の高さが確認されているだけでは、実際の使用に向かないことも出てくる可能性があるからです。積水ハウス独自の研究としてセンサー技術に関する説明が行われました。これは室内外の温度や湿度、日差しの強さをセンサーが認識し、シャッターや室内のブラインドの上げ下げ、窓の開閉を自動で行うというものです。これにより私たちが意識しなくても、住宅自らが快適でエネルギー消費の少ない住環境を実現してくれるかもしれないということです。
このほか、心拍といった体調や行動なども認識するセンサー技術なども今回、紹介されましたが、これらは将来的に居住者の健康管理、さらには高齢者の見守りといったサービスの提供へと可能性が広がるといいます。
快適で安全、安心な住まいづくりの手法にスマート技術を取り入れる積水ハウスの「スロー&スマート」の集大成といった感じ。いくらスマート技術が入っていても、住まいとしての基本性能がしっかりとしていなければ生涯にわたり長く快適で安心・安全に暮らせる「良い住まい」とはいえないという思想が反映されていました。
皆さんには、このようなセンサー技術がこれからのスマートハウスの重要な要素となり、私たちの暮らしを大きく変えていく可能性があることをお分かり頂きたいと思います。次のページでは、住まいとクルマの関係を中心に実証実験ハウスについてさらに紹介していきます。