投資信託は中長期投資が前提だが…
筆者が、繰上償還条項付を除いた追加型株式投資信託について、過去5年間に渡り、設定から償還までの年数を調べてみたところ、平均して約半数のファンドが運用開始から5年を待たずして償還されていることが分かりました。NISAの非課税期間が5年で設定されていることを鑑みても、5年未満の繰上償還はあまり歓迎できるものではありません。
尚、2013年の償還本数が多かったのは、翌年のNISAの制度開始を睨み、残高の小さい「小粒」のファンドを整理する動きが広がったためとみられます。
タイムリーすぎるテーマには要注意
さらに5年未満で償還されたファンドを詳しく見てみると、以下のような特徴を持ったものが多いことが分かりました。1.運用開始時と比較して残高が著しく減少している
2.投資対象を特定のテーマや業種に絞り込んでいる
3.時限的な投資テーマを掲げている
利益確定を始め、何らかの理由により解約に走る投資家が増え、ファンドの残高が減少を続けると、運用会社は満足な運用を行うことが難しくなります。こうした理由から、投資信託説明書(目論見書)には、一定の受益権口数(残高)を下回り、今後も口数の増加が見込めない場合には繰上償還する可能性がある旨明記されています。尚、この「最低ライン」は、10億円(口)から30億円(口)に設定されていることが多くなっています。
投資対象を特定のテーマ・業種に絞り込んだファンドや、更にそのテーマが時限的なファンドは、運用成績が市場動向に左右されやすく、一過性のブームが過ぎると成績が悪化し、残高も減少に転じることがあります。NISAを通じた保有は積極的にはおすすめできず、あくまで購入と解約のタイミングを判断できる中上級者向けのファンドと捉える方が良いでしょう。