目からうろこが落ちるような糖分の生い立ち
金平糖にも少しだが稀少糖が入っている
糖分といえば、ブドウ糖、麦芽糖、砂糖(ショ糖)など、いろいろな種類があることはご存知でしょう。ところがこれらの糖分は、元を正せばほとんど「C6H12O6」(C:炭素6個、H:水素12個、O:酸素6個)で表すことができる単糖(いわば、ぶどう1房を構成するぶどう1粒みたいなパーツのこと)からできています。
実はこの単糖にも、形の違いで60パターンくらいの種類があります。ただ現在の地球では、ブドウ糖が圧倒的に多く、ほかの単糖は42億年の地球の歴史のなかに埋もれてきたらしいのです。
地球でどうやって糖分ができたのか
多くの研究者が研究していますが、なんと出来たばかりの地球の熱い海水のなかで、ホルモース反応で単純な化合物(ホルムアルデヒド)から糖類が出来てきたというのが主流です。ホルモース反応では、てんでばらばらに化合物が反応するので、ほとんど全種類の単糖類がごちゃまぜにできます。このごちゃまぜに出来た糖類を、植物をはじめとする生物が、使い勝手の良いものから使った結果、稀少糖(プシコース、アロース)が埋もれ、ブドウ糖の天下になったということです。
それでは、なぜブドウ糖は使い勝手が良かったのか。それは、お互いに簡単にくっつくことができ、より大きなエネルギー源として利用できるからです(でんぷんは、すべてブドウ糖が結び付いたもの)。
やがてブドウ糖を栄養とした植物は、光合成によりブドウ糖を多量生産します。現在の地球では、ブドウ糖が99.9% 、プシコースは、0.001%など ブドウ糖以外は殆ど淘汰されてしまったのです。こうして地球はブドウ糖で埋め尽くされていきました。
やっと光があたった稀少糖(プシコース、アロース)
地球の歴史では、日の目が当たらなかった稀少糖(プシコース、アロース)ですが、糖としてはある種の植物などに、微量ながらも存在していました。あると言っても、ごく微量ですからほとんど注目されていませんでした。展開は1991年に香川大学農学部の何森 健(いずもり けん)教授が、農学部のキャンパスから見つけた、微生物が作る酵素の発見に始まります。何森教授は、この酵素を用いて希少糖プシコースを世界で初めて作ることに成功したのでした。
もともとプシコースは微量ながらも、ほとんどすべての甘い食品に入って、自然と食べられていました。あとはどのような健康効果があるかを実験で確認することができれば、バッチリというわけです。
ただ、ビタミンやミネラルと違い、糖類のなかでも稀少糖の健康効果は、過去にまったく研究されておらず、この証明に労力と時間が必要であったことは間違いのないことです。
最近の研究では、プシコースの効果として
- 食後血糖値の上昇を抑える(ヒト試験)
- 内臓脂肪の蓄積を抑える(ラット試験)
- 動脈硬化の抑制、抗う蝕性(虫歯になりにくい)
また、アロースの効果として、
- 細胞活性酸素抑制作用
- 収縮期血圧・拡張期血圧の上昇抑制
- 臓器虚血障害保護作用
- 癌細胞増殖抑制のはたらき
稀少糖は、香川の地産企業である「株式会社レアスウィート」で製造されており、ウェブサイトからも注文可能。レアシュガースウィート(希少糖含有シロップ)として、500gボトル 1,296円(税込)で販売されています。
[内容量]500g
[成分]ぶどう糖、果糖、希少糖 約15%(D-プシコース5%以上)、その他糖類
[甘味]砂糖の90%程度、コクのあるスッキリとした甘さ
[カロリー]砂糖の約80%
いちど、味見をしていても良いかもしれません。ただし、稀少糖といっても、取り過ぎはダメですので、ほどほどに。
参考
ホルモース生成反応の新しい展開
有機合成化学 第41巻第6号 (1983)
アルマ望遠鏡、赤ちゃん星のまわりに生命の構成要素を発見
Detection of the simplest sugar, glycolaldehyde, in a solar-type protostar with ALMA
アストロフィジカル・ジャーナル・レター
希少糖(rare sugar)とは
一般社団法人 希少糖普及協会