クアトロポルテより引き締まった、新時代マセラティ・ライド
試乗車はS Q4だった。FRのSに比べて80kg重いが、燃費や性能はほぼ同じ。否、むしろ、スタートダッシュでは発進時のトラクション性能の良さから、2駆よりもいくらか速い。通常は2駆で走り、必要に応じて前輪に最大50%まで駆動を分配するというシステムだから、フツウに街中を走らせているようなときに、前足による積極的な路面掻きなど、ことさら4WDであることを感じることはなかった。
けれども、アクセルペダルを思い切り良く踏み込んでみれば、様相は一転。四肢で確実に路面をくわえこみ、ハイパワーを無駄なく発揮させて、強力なダッシュをみせる。この加速フィールは、4WDならでは。
とにかく、マラネロ製V6ツインターボエンジンのフィールとパワフルさには舌をまいた。8段あるギアのおかげで、加速は恐ろしくスムース。加えて特徴的なビートとサウンドが、豪華な室内を心地よくふるわせる。ドライバーはすっかりスポーツカーをドライブしている気分だ。
クアトロポルテとほぼ同じナカミだというのに、ハードに攻め込んだときの印象が少し異なっていた。
ギブリのほうがクルマとの一体感が断然に上。なるほど、“コンパクト”なモデルを操っているような実感が十分に伴う。相変わらず、軽やかでシャープなハンドリングは誉れ高き名家の血筋をまるで隠そうとしないもので、クワトロポルテより身の引き締まったライドフィールこそが、新時代のマセラティ・ライドというものなのだろう。
これだけ“小さく”まとまって走ってくれるのであれば、Eセグメント最大のキャビンスペースが、逆に大きなメリットにもなる。リムジンセダンとして、そして何よりスポーツカーとして、一石二鳥のハイエンドモデルであると言っていい。