孤高で高貴なマセラティ

マセラティグラントゥーリズモS
'08年3月のジュネーブショーで発表された、ハイパフォーマンスバージョンのグラントゥーリズモS

マセラティグラントゥーリズモ
フロントに配されたエンブレム
マセラティグラントゥーリズモ。なかなか乗りこなすのが難しいクルマだ。テクニックではない。あの独特の雰囲気の中で、自分を確立させることが難しい。

はっきり言って、格好は抜群にいいけどディテールはアグリーだ。これはもう確信犯だろう。兄弟車のアルファロメオ8Cコンペティチオーネをみれば分かるとおり、もっとキレイに美しく万人受けするようまとめる方法はいくらでもあったはず。なのに、あえてクセやアクをもたせた。

結果、マセラティは独特のブランドポジションを確立したように思える。エンツォフェラーリベースのMC12を超イメージリーダーに戴き、クワトロポルテというこれまた一風変わったスポーツサルーンを中核に据えて、フェラーリばりのサウンドを轟かせるイタリアの貴族趣味的高級車。確かに、余人には代え難いという価値がそこに見えてくる。

マセラティというブランドの伝統を紐解けば、フェラーリやランボルギーニなど戦後の成り上がりでしかなく、ランチアやアルファロメオと並んで、生粋の高級スポーツカーブランドであることが分かる。ランチアとアルファが“並の上”に落ち着いた今、マセラティだけが唯一、イタリア車界における高級ブランドとして君臨していると言っていい。

だから、やっぱり難しいのだ。特に胴長短足丸顔メタボの日本人には。

だから、やっぱり憧れてしまうのだ。ファッション誌のジローラモをみるように。

到底、叶わないし敵わないのは分かっている。けれども、なんとか近寄ってみたい、触れてみたい、試してみたい。ファッションならまだ少しは気軽さもあるだろうが、クルマともなると“きゃー、似合わねえ、失敗”ではすまされない。何と言っても、相手は千五百万円超級のシロモノ。そんなプレッシャーが、またさらにマセラティのブランドを孤高に、高貴にみせる。

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