自宅写真

東京23区内で注文住宅によって自宅を新築すると、費用は一体いくらかかるだろう。

東京23区内で宅地を新規取得し、その上に注文住宅でマイホームを新築しようとすると一体いくらかかるか?―― 誰もが気になるところでしょう。

国土交通省の「平成24年度住宅市場動向調査」によると、全国を対象に平成23年4月~同24年3月の間に注文住宅でマイホームを新築・入居した人の平均取得金額(土地購入資金を含む)は3614万円でした。

参考までに、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県南部)で平成25年1年間に分譲された新築建売り住宅の平均価格は4557万円(不動産経済研究所)でした。東京都だけを見ると平均価格は5593万円(同)に跳ね上がっており、20年近くデフレ経済が続いていながらも、都心部ほど価格が高くなるという住宅価格の地域格差は解消されていません。

なお、国交省の調査では注文住宅を新築した世帯主の年齢についても質問しており、今回の両親宅のように二次取得の場合の世帯主年齢は「60歳以上」が55.2%と過半数を占めていました。以下、「50歳代」が25.1%、「40歳代」が12.1%、「39歳以下」が8.7%でした。同調査によると手すりの設置やフラットフロア、車イス対応など、高齢者設備の付設要望が注文住宅では高い傾向にあり、世帯主年齢が高齢化するほど施主は“終の棲家(ついのすみか)”として住宅を新築していることが分かります。

さて、今回で第5回目となる両親のための高齢者仕様住宅の新築連載シリーズ。本稿では土地の取得費、ならびに注文住宅による新築工事費用を全公開します。

土地価格は1坪=約147万円 はたして安いのか高いのか…… 

まずは土地価格から見ていきましょう。もともとは「建築条件付き宅地」だったものを「宅地のみ」の販売に変更してもらった経緯があり、200万円が上乗せされて4200万円(建築条件付きで4000万円)での購入となりました。今、思えば売り主に足元を見られた感はありますが、とても気に入った場所だっただけに、先方の提示金額で契約することにしました。

ちなみに、敷地面積は28.55坪ですので、1坪=約147万円、1平方メートル=約44.5万円になります。当該エリアの路線価が1平方メートル当たり32万円(平成25年)ですので、公示地価が路線価の8割水準とすると、公示地価換算で1平方メートル当たり約40万円になります。首都圏では実勢価格が公示地価を上回る傾向が高いことをかんがみると、相場を度外視した価格設定ではないといえそうです。施主としては「そう信じたい」というのが本音です。

北側斜線の規制を逆手に取り、屋根裏に大容量収納を設計する 

次に、建物(木造在来工法2階建て)の建築費用を見てみましょう。内訳を一覧にしたのが下表です。
費用の内訳

 

本体工事は養生や足場の組み立て、仮設の水道や電気を引き込むための費用から始まり、床、壁、屋根、バルコニー、窓やサッシ、扉などの材料費や施工費、また、キッチンや洗面台、ユニットバスなどの住宅設備、さらに、電気工事と屋内の基本給排水工事も含めて細田工務店は見積もっています。

注文住宅では工事費用の妥当性を測るバロメーターとして1坪当たりの単価が使われますが、本邸は延べ床面積が22.77坪(75.28平方メートル)ですので、本体価格1536万円で割ると1坪=約67.5万円になります。

ロフト写真

北側斜線の傾斜を利用した「固定階段付きロフト」

建築工事にあたってはオプション工事をお願いしており、右の写真が「固定階段付きロフト」です。要は屋根裏空間なのですが、広さが約6.5帖、天井高も最高で1.4メートルあり、居室として十分使用できそうな仕上がりです。

今回の建築地は第1種低層住居専用地域内にあり、第1種高度地区のため北側斜線の規制があり、屋根はかなり急勾配にならざるを得ませんでした。そこで、屋根勾配の高低差を利用して小屋裏空間を間取りに取り入れてもらいました。「縦の空間をできるだけ利用するように工夫しました」と設計担当者は説明します。写真の天井が急勾配なのは、急勾配な屋根がそのまま小屋裏の天井になっているからです。

スキップロフトも縦の空間を有効活用したコンパクトな収納空間のことです。玄関錠遠隔システムとは、コードレス式のインターホン装置です。かろうじて自立歩行が可能な母親がベッドの上でも来客対応できるよう取り付けをお願いしました。さらに、2階からの足音が1階に響かないよう、遮音石膏ボードと断熱材を床材に採用してもらったのが2階の遮音床のオプション工事です。

その他、その他工事に含まれている特殊仮設工事とは、仮囲い費用やガードマンの人件費、工事業者の車を停めるための時間貸し駐車場代などです。75万円の費用が掛かりました。

諸費用も無視できないコストです。設計費用に登記費用、どちらも必要不可欠であり、住宅取得には避けて通れない負担です。こうして次々と金額が上積みされ、最終的には約6735万円という金額になりました。自宅周辺で売り出された建売住宅を参考に、予算は6000万円程度を目安にしていたのですが、結果的には1割超の予算オーバーです。

しかし、総じて両親とも満足している様子です。築35年の住宅から最新設備が備わった新居へと引っ越したことで、いまだに住宅設備機器に順応できず、うまく使えない時はブツブツと文句を言っています。また、どこに何をしまったか忘れてしまい、探している場面も目にします。ただ、現在の父母にとってはお金以上に健康や安心感が必要なのです。機器に慣れてくれば、フラストレーションは低減していくでしょう。息子(私ガイド)としては母の腰痛が一日も早く回復してくれるのを願うばかりです。

次回(第6回)は、工事請負契約書を締結する際の注意点に触れます。

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