テクノポップ/アーティストインタヴュー

アーバンギャルドの『鬱くしい国』(4ページ目)

アーバンギャルド、電撃のレーベル移籍後、初アルバムとなる『鬱くしい国』を6月18日にリリース! 既にPV(プロパガンダ・ビデオ)を3作も発表。新境地に踏み込みつつも、我らの国「日本」をアーバン的切り口で見つめた渾身の力作となっています。松永天馬さん、浜崎容子さんに新作について語って頂きました!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

計算してる天馬くん

ガイド:
「生教育」は大変シリアスな内容、かつ切なすぎる美しい曲ですが、どうしていつもふざけているとしか思えない松永さんにこんな曲が作れるのでしょうか? ここは、よこたんにその回答をお願いします。

浜崎:
天馬ってふざけているように見える時もあるけど、全部計算しているというか、はじけている時も頭の中は常に冷静なタイプなんです。と言うととてもズルい人みたいに思えますが(笑)。だからかはわかりませんが、人の暗い側面というものも冷静に見ているんだと思うのです。人って、助けて、と言いたいのに、言えない。でも気づいてほしい、そんな気持ちを冷静に見極める目を持っているんじゃないかな。

ガイド:
ちなみに、歌詞の中で「スクールカースト(制度)」って僕には聞こえているんですが、これはNG質問?

松永:
そう聞こえるならそうなんだと思います(曖昧)!
この曲はメロディと大まかなアレンジは昨年の段階からあって、ベスト新録曲の候補でもあったのですが、なかなか歌詞がのらなくて… それが昨年のゴタゴタがあったときにふわっと書けてしまいました。たまにシリアスなドラマを織り交ぜるのはウディ・アレン直伝の芸当ですね。

大人のアーバン

ガイド:
「君は天然色」ではなく、「君にハラキリ」。80年代、テクノポップとリヴァイヴァルしたWall of Sound (Phil Spector)は同期していました。やはり、お好きなんですね。

松永:
夏っぽいですよね。80年代のAOR、大人の歌謡曲って既に失われたジャンルのような気がしているんですよ。多分ヒップホップとかブラックミュージックに吸収合併されたんだと思うんですけど、あの雰囲気を今のアーバンでやりたかった。多分僕自身が三十代になって、ようやくこういう音楽に手が出せるようになったんだと思います。是非ビーチで、ホテルのプールサイドで聴いて欲しいですね。イラスト化するとしたら永井博かわたせせいぞうで。

浜崎:
この曲は最後まで正直どうとられるのか読めなかった曲です。先月ワンマンライヴで初披露したときに笑いが起こったんです(笑)その時に「あ、この曲はこっちなんだな」と自分の中でようやく着地しました。勿論好きな曲なのですが、アーバンにしてはアダルトなサウンド、アダルト層に懐かしいサウンドだったので。曲のさわやかさと相反してドロッとした歌詞も好きです。

悪の組織と戦う

ガイド:
「ロリィタ服と機関銃」では、80年代歌謡曲のペーソスが漂います。これは、ぜひプロパガンダ・ビデオを作ってほしいです。よこたんがロリィタ服で機関銃をぶっ放すのが見たいです。セーラー服はいやほど見ましたが、僕の記憶では、よこたんのロリィタ然とした姿を見た記憶がないもんで。

浜崎:
撮りたいですね。汚れたロリータ服に機関銃を持って廃工場で悪の組織と闘う姿が見えます。この曲は作曲とアレンジをやっているのですが、実は二年ほど前に出来ていた曲なのです。構成とアレンジを見直し、このほど日の目を見ることが出来ました。先生の仰る通り、私の大好きな80年代アイドル歌謡をイメージしています。この頃のアイドル歌手はみんなソロで、たったひとりで戦っているように見えるのです。その姿を現代の女の子たちに置き換えて、激しさの中に切なさや孤独感を持たせたいと思って作った曲です。

松永:
松永の大映ドラマばりのナレーションも必見です(笑)。ここの音響的なミックスはかなりこだわりました。

 

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