相乗り企画でつながりが?
なぜ日本テレビ社員がNHKドラマの演出をしているのか?思い当たるのがNHKと日本テレビに昨年できた接点。1953年に相次いでテレビ放送をスタートしたNHKと日本テレビ。60周年となる2013年に『NHK×日本テレビ 60番勝負』を共同制作。2局が対決する企画の一つに「ドラマ対決」がありました。
NHKが放送する第一夜から日本テレビ放送が放送する第二夜までの一日で、ミニドラマをつくるというもの。NHKはあらかじめ西村与志木プロデューサーと一色隆司ディレクターが担当し、松坂慶子が主演するところまで準備していました。
対する日本テレビは「T部長」こと土屋敏男局長が、その場で『女王の教室』などの実績がある大塚恭司ディレクターを指名。その名の通り60の対決企画があった番組ですが、準備もなしに一日でドラマを作らなければいけなかった大塚ディレクターが一番たいへんそうに見えました。これをNHKの人が見て『プラトニック』を担当してもらおうと考え……と想像(妄想?)してみました。
広がる他局への進出
他局での社員ディレクターによる演出はNHKと民放キー局のカセを外すと例はあります。たとえばWOWOW。連続ドラマWの代表作『パンドラ』シリーズの演出はフジテレビで古くは『抱きしめたい!』から『極悪がんぼ』まで担当するベテラン河毛俊作。これを書いている現在放送中の『モザイクジャパン』は『WOMAN』で芸術選奨を受賞した日本テレビの水田伸生。TBSとは『MOZU』シリーズを共同制作と協力しています。
WOWOWの主要株主1~3位はフジ、TBS、日本テレビでそれぞれ10%弱の株式を持っています。おそらくその関係によるものでしょう。
またNHKも手を広げています。80~83年にNHKで放送された時代劇『御宿かわせみ』。平岩弓枝の原作はその後も書き継がれ、明治時代に突入した『新・御宿かわせみ』が以前と同じ真野響子・小野寺昭の出演しCS・ケーブルテレビで見られる時代劇専門チャンネルで放送されました。
制作はNHK系のNHKエンタープライズ、大河ドラマ『花の乱』『秀吉』『義経』などを担当した黛りんたろう演出。しかし時代劇専門チャンネルは社長が『北の国から』の名演出家・杉田成道でバリバリのフジテレビ系です。
他局の社員ディレクターが演出を担当するのも、そのドラマが高視聴率を獲得すると利益相反になって問題あります。しかし地上波ならともかくBSやCSだとそこまでの影響はないでしょう。今後さらに増えそうな予感がします。