生活の変化がもたらす恵み
先にご紹介したような実感できる変化もありますが、さらに日々少しずつ盆栽がくれる恵みもあります。1.盆栽は、「自分との語らい」を教えてくれる
盆栽コーナーの一角で。心をほぐしましょう
仕事で疲れ果てた脳と心も、冷えた缶ビールを空けながらベランダの盆栽に水をやって、
「無」の時間を過ごすことでほぐされていくでしょう。「今日の俺もお疲れ様。明日は明日の風に吹かれよう」と前向きになれるはずです。
植物は、昼間に光合成して、夜は眠ります。人にも休息は必要です。盆栽との静かな自分時間を過ごすことで、心が穏やかになり、休息モードへギアダウンするのを感じるでしょう。
モミジの種に気づいて
盆栽を育てると、普段はあまり日に当たらない人でも、土日はベランダや庭に出て日光に当たる時間が増え、植え替えでは土や根に触れたり、剪定では葉や枝に触れたりといつもとは違った刺激があります。花や葉の匂い、中間色の美しい色彩など、感じたことにはっとすることもあるでしょう。すると、いままで気づけなかったことに気づけるようになった自分が好きになり、心に余裕が持てるでしょう。
日々開花する花が増えるノイバラの苔玉
盆栽のある暮らしは、日々の些細な植物の変化を知ることでもあります。春先に出たばかりの新しい葉が、日に日に大きくなっていく様子や蕾から開花までの変化、秋に葉が色づいていく変化などに敏感になります。わが子の成長が楽しみな親の心境にも似ていますね。
小さな鉢の中で生きる盆栽の些細な変化に気づいた時、健気な彼らの姿に愛情を感じ、やさしい気持ちになるでしょう。小さな子供のなにげない仕草や言葉に、ふっと心がやわらかくなって顔がほころぶように、盆栽もやさしさとやわらかな心を教えてくれます。
規則正しい生活で健康になる。
これまで紹介したように、盆栽という相棒が我が家で暮らすようになると、生活のリズムが整ってきます。規則正しい生活、とまではいかなくても少なくとも、以前よりは自律するはずですから、その結果健康になるはずです。遅寝朝寝坊では、植物が活動する時間とすれ違ってしまいますよね。休みの日も早起きしたくなったり、昼間も家の中でごろごろ過ごすよりも日光にあたり、体を動かしたくなったり。自然の多いところへでかけたくなったり。盆栽を育てることと健康は直接結びつかないかもしれませんが、生き物本来の「お天道様と共に生きる暮らし」「自分の心をほぐす静かな時間」といったものが自律神経を整え、前向きに生き生きと暮らす恵みをくれることは間違いありません。