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4人に1人が高齢者! シニア世代の住宅のあり方とは(2ページ目)

我が国は「超高齢化社会」を迎えようとしています。その中で、住まいの世界では、どのような工夫や配慮が必要なのでしょうか。今回の記事では、「サービス付き高齢者向け住宅」の現状もふくめ、これからの住まいのあり方について考えていきます。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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内閣府の「平成24年版 高齢社会白書」によると、高齢者に身体が虚弱化したときに望む居住形態を聞いたところ、「自宅に留まりたい」(「現在のまま、自宅に留まりたい」と「改築の上、自宅に留まりたい」の合計)とする人が約3分の2となっていました。つまり、終の棲家としてサ高住や有料老人ホームなどではなく、「できれば自宅で」という考えが根強いわけです。

根強い「終の棲家は自宅」という考え

とはいえ、現状で高齢者に優しく、住みやすい住宅にお住まいの方がどれくらいいらっしゃるでしょうか。居住スペースに段差が多い、要するにバリアフリー化が充分ではないことはもちろん、間取りや設備などにも問題を抱えていることが多いようです。

階段

ユニーバーサルデザインが反映された階段の事例。踊り場があり傾斜が緩やか。さらに手すりもしっかりと取り付けられ安心・安全に配慮されている(クリックすると拡大します)

例えば、2~3階建て住宅ですと階段は危険な場所になりがち。階段の勾配が急だったり、手すりがなかったりして、昇降中に足を踏み外して転落したりする事故も多いようです。ただでさえ、身体が不自由になると移動が難しくなります。若い頃には子育てもあり住みよかった我が家が、高齢者になり身体能力が落ちる頃には住みづらい我が家になっていることも多いものです。

ですので、資金の余裕がある高齢者の方の中には、自宅を建て替えたり、リフォームする、あるいは自宅を処分しマンションに転居する、さらには前ページでご紹介したサ高住のような高齢者に配慮が行き届いた住まいに移り住むケースが多くみられるわけです。

ただ、これから住宅を取得する皆さんには、できるだけ長く自宅に住み続けていただけるように工夫をしていただきたいと思うのです。せっかく高い買い物をするわけですから、最初から高齢者になった時のことも考慮しておいて、将来的にも住みやすい住宅を目指すべきだと思います。

では、高齢者になっても満足度が高い住宅というのはどのような住まいなのでしょうか。大きく以下にまとめられそうです。
(1)バリアフリー&ユニバーサルデザイン(UD)
(2)住宅内の温度差が少ない
(3)使いやすい間取り


長く安心して暮らすためのユニバーサルデザイン

(1)については、床の段差がないバリアフリー設計であることはもちろん、階段の勾配や踏み板の大きさ、手すりなどの握りやすさなどにも配慮しましょう。UDとは「誰にでも使いやすいデザイン」のことをいいます。階段だけでなく、各種設備(バスやトイレなど)や建具(ドアやその取っ手)などにも、その工夫が盛り込まれているものもあります。

浴室

住宅内の死亡事故で最も多いといわれるのが浴室回り。その原因はヒートショックといわれる。そのため、浴室も含めた断熱施工で、居室間に温度差が少ない環境を作ることが重要とされる(クリックすると拡大します)

この発想が取り入れられている住宅に住むことで、高齢者だけでなく子どもの安全を確保することにもつながります。UDは目立たない工夫ですのであまり注目を浴びませんが、長く安心・安全に暮らす上で非常に重要な要素といえます。

次に(2)ですが、これはヒートショック対策として重要です。住宅内で死亡事故が多い場所の一つに、浴室及び浴槽があります。なぜ、多いかというと、暖かいリビングから寒い脱衣場、さらには暖かな浴室に移動する中で、大きな温度変化が高齢者の心肺機能などに強い負担をかけるからです。

部屋間に温度差がなければ、ヒートショックの発生をかなりの部分抑えられます。そのためには、できるだけ断熱性の高い住宅とすることが必要。また、最近の住宅では、24時間全館空調も以前に比べてずいぶん安価で導入できるようになりましたから、それを取り入れると大変効果が高くなるはずです。

ところで、将来最も困るのが介護が必要になった時ではないでしょうか。介護サービスを受けるにしても、例えば2階に高齢者の部屋があるようでしたら、サービスを受けるのが大変になります。ですから、一般的な住宅にお住まいの方ですとリビングで介護を受けるなんていうケースもあるようです。そうならないように配慮するのが(3)です。

1階LDKの隣に和室を配置し、和室を将来、介護室にできるような間取りを取り入れておけば、リフォーム費用も大きくなりませんし、経済的、肉体的負担を軽減できるはず。このように先々の暮らしを想像して、できるだけ新築段階で容易をしておくと、高齢者はもちろん、家族や介護者にとっても環境の良い住まいとなるはずです。
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