総務省が4月15日に発表した推計人口によると、高齢者(65歳以上)が日本の人口に占める割合が初めて4人に1人となったそうです。我が国において、いわゆる「超高齢化社会」が本格化に到来したというわけです。私たち消費者は、このような時代において、住まいについてどのような配慮や工夫をしておくべきなのでしょうか。そこで今回の記事では、高齢者に対応する住まいのあり方について考えていきたいと思います。

将来の暮らしがどうなるか、若い世代も関心を!

老後の住まいのあり方をどうするのかというのは、実は大変な問題です。今現在、若いからって安心してはいけません。それに、皆さんのご両親がその問題に直面するかもしれません。その中で、自分で介護することはもちろん、「介護がしっかりした高齢者向け住宅を」と考えることもあるでしょう。

トイレ

あるサ高住の居室にあるトイレ。手すりが設置されているほか、緊急用に職員を呼び出せるブザーも取り付けられている(クリックすると拡大します)

いずれにせよ、皆さん自身もいずれは年をとり、老後の住まい方について真剣に考えないといけない時期が来るはずです。要は、「終の棲家(ついのすみか)」をどうするかということ。考え方は大きく二つあるように思います。一つは、高齢者向けの施設で暮らすこと。もう一つは自宅でできるだけ長く暮らすということです。まず、前者について考えていきましょう。

国は超高齢化社会を迎えるにあたり、高齢者向け住宅の供給の加速と市場整備を進めようとしてしています。というのも、高齢者を受け入れられる住宅というのは、意外と少ないからです。そのため、2011年10月に「改正高齢者住まい法」を施行しました。

その内容は、高齢者向け住宅としてはそれまでにあった「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」や「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」、「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」を「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」に一本化するというものです。サ高住は20年までに60万戸が新規供給される計画です。

ですから、サ高住は簡単にいうと、バリアフリーなどの高齢者仕様が整い、さらに介護サービスも受けられる賃貸住宅と考えればよいでしょう。一般的な有料老人ホームとの違いは、権利金や一時金など多額な金額がないということです。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?

ただ、建物のハード面については、バリアフリー構造であること、各居住床面積が25平方メートル以上、台所や水洗トイレ、浴室、洗面設備、収納などがあることが求められています。また、サービス面では介護資格などがある専門家が日中常駐し、常駐しない時間帯は緊急通報システムで対応できるなどという基準もあるようです。

サ高住

大手ハウスメーカー・積水ハウスが施工したサ高住「シノン青葉台」(横浜市青葉区)の外観。施設内にはクリニックやデイサービス、訪問介護事業所も併設されている(クリックすると拡大します)

居住者にとっては、有料老人ホームなどと比べ比較的安い賃料(ただし、グレードは様々)で入居でき、介護や食事などのサービスを受けられるということがメリットといえそうです。また、あくまで賃貸住宅ですから、介護度が高くなったら、より高度な介護サービスを提供する施設に移ることも容易です。

国は社会保障費に毎年莫大な予算を費やしていますが、財政逼迫の中、介護や医療に関するコストの削減の必要性に迫られています。そこで、高齢者にサ高住のような住まいに移り住んでもらうことで費用負担を軽減したい考えというのも、背景にはあるようです。

というのも、サ高住でしたら高齢者が集まって住むわけですから、介護や医療サービスの提供が効率的に行えます。個別散在的に高齢者が自宅で暮らすより、様々な面でメリットが出てくるからです。このようなことから、医療や介護などの事業者がこの分野に積極的に取り組むようになりました。

また、住宅事業者もそのようなニーズを受け事業参入が相次いでいます。いち早く取り組んでいる事業者の中には、サ高住専用の商品を開発して建設に積極的に乗り出しているハウスメーカーもあるほどです。前回の記事では今後の住宅市場の方向性について解説しましたが、この分野は非常に期待されている事業なのです。

最近は、比較的若く元気な高齢者の方々が、自宅を処分しサ高住に移り住むというケースが、増えてきているようです。かつてとは、高齢者施設に関するモノの見方が変わってきているようですね。次のページでは、「自宅」に関する高齢者居住の配慮についてみていきます。