購入する住宅を選ぶ際には、最寄り駅におけるバリアフリーへの対応状況もしっかりと確認しておきましょう。
バリアフリー設備は高齢者の生活や車椅子での移動に欠かせないことはもちろんですが、決してそれだけではありません。
若い人であってもベビーカーを押しているとき、旅行用のトランクケースやキャリーバッグなど大きな荷物を持ち歩くとき、足に怪我をして杖が必要なとき、腰痛のとき、病気のときなど、駅のエレベーターや段差のないスロープは大いに助かります。
2006年(平成18年)に施行された「高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー新法)に基づく方針として、「1日の平均利用者数が5,000人以上の鉄道駅」(全国約9,500駅のうち約2,800駅)を2010年末までにバリアフリー化する目標が掲げられていました。
2010年にこの基本方針が見直され、「1日の平均利用者数が3,000人以上の鉄道駅」(5,000人以上を含む約3,450駅)を2020年年度末までにバリアフリー化することとしています。
技術面や財政面でバリアフリー化が困難な駅にまでこれを義務づける制度ではありませんが、主要な駅では国や自治体による支援も得て、順調に整備が進められているようです。
国土交通省が2013年3月31日現在でまとめた資料によれば、「基準に適合している設備により段差が解消されている、平均利用者数3,000人以上の駅」は、JR(6社合計)が79.0%、大手私鉄(15社合計)が86.4%、地下鉄(10社局合計)が84.4%となっています。
しかし、全駅に占める割合ではJRが30.5%、大都市圏がメインの大手私鉄でも69.5%に過ぎません。JRには地方のローカル路線もあり、実質的にバリアフリー化することが難しいケースも多いでしょうが……。
都道府県別の集計をみても、東京都が83.9%、大阪府が88.8%など、必ずしも大都市圏は整備が完了しているというわけではありません。山口や長崎など25.0%(4分の1)にとどまっている県もあります。
なお、ここでいう「基準に適合している設備により段差が解消されている駅」とは、公共交通移動等円滑化基準第4条によるもので、一定の要件を満たすエレベーターなどによって「乗降場ごとに、段差が解消された経路を1以上確保している駅」を指し、それが自分にとって使いやすい位置にあるかどうかは別問題です。
主要な駅はすでにバリアフリー対策が終わっているか、もしくはこれから整備される予定となっているでしょうが、都市部でもマイナーな駅では現状のまま改良されないケースも考えなければなりません。
とくに老後まで暮らすつもりで住宅を購入する場合には、最寄り駅の様子をさまざまな角度から観察してみることも大切です。
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