希少な生物の宝庫、雲南省
稀産種が数多く生息すると言われる「梅里雪山」は標高6000メートル以上。人気観光地の1つである香格里拉(シャングリラ)から約190キロに位置する。香格里拉から毎日バスが出ている。生物を見るなら夏場がおすすめ。
蝶の稀産種「アキマドアサギマダラ」
雲南の豊かな自然を紹介するうえで、もうひとつ重大なことは、この地方にだけ分布し、世界のどこにも兄弟姉妹が存在しない種がいることです。雲南省徳欽県東北部に「梅里雪山」という山がありますが、そこに「明永氷河」という名の氷河があります。その小さな水溜りに吸水に訪れる蝶の中で、究極の稀産種が、このアキマドアサギマダラ。全く別の仲間のアサギマダラそっくりに擬態した、ミスジチョウの仲間です。梅里雪山の周辺だけに棲み、標本も世界に数頭しか知られていないそうです。日本人に親しまれている植物「レンゲソウ」
蒙自(雲南省南部の紅河自治州。昆明から高速バスで約5時間)、金平(紅河自治州。ベトナムとの国境である「河口」のそば。昆明から高速バスで約7時間)、緑春(紅河自治州。金平の隣に位置する)などで生息する野生の「ゲンゲ」。
しかし日本のレンゲソウに最も血縁関係が近いと思われる集団が雲南に少なくとも2つあります。日本のレンゲソウは赤い部分に、白い部分が混じっています。雲南南部の、蒙自、金平、緑春などで見られる野生のレンゲソウは、濃いピンクの花、ピンクは花の全体を覆い、日本のレンゲソウのように白い部分は混じっていません。一方、大理や騰沖で生息する野生のレンゲソウは純白。日本でもごくたまに白いレンゲソウが見つかりますが、この地域のものは白一色でした。