墓じまいとは
最近、「店じまい」ならぬ「墓じまい」という言葉がよく聞かれるようになりました。墓じまいとは、管理ができなくなったお墓を処分すること。「お墓が遠くにあるのでお墓参りに行くのが難しくなった」「お墓を継ぐ人がいない」「古いお墓がいくつもあって管理できない」などの理由で墓じまいを考える人が増えています。処分と一言でいっても、単に墓石を解体して廃棄すればいいいというわけではありません。埋葬・埋蔵されている遺骨を勝手に処分することもできません。
円滑に墓じまいができるように段取りや手順をおさえておきましょう。
親戚や寺院への相談と離檀科
親戚、寺院に相談して話し合うまずは、親戚に墓じまいをしたい旨とその理由を告げましょう。お墓に入っている先祖の血を受け継ぐ親戚の中には、墓じまいを快く思わない人もいます。そういった場合、強引に推し進めずに、時間をかけてでも説得したほうが良いでしょう。
寺院に相談する
寺院にお墓がある場合、寺院には計画段階から早めに相談します。お寺は遺骨の管理人ではなく、先祖代々のお墓を供養してきた場所。何の前触れもなく、いきなり「墓を撤去したい」と切り出せば、寺院側も決して良い気持ちはしません。「離檀料」という名目で高額のお金を要求されることもあります。離断料はあくまで「お布施」ですから、最終的には常識的な額に落ち着くにしても、一度トラブルになってしまうとお互いに気まずさが残ってしまうもの。礼を欠いた振る舞いは避けたいものです。
離檀料について
永代供養と散骨
遺骨の行き先を考えるこれまで埋葬・埋蔵されていた遺骨の行き先を考えます。別の墓(○○家のお墓)に移動するか、寺院などにある永代供養墓に合葬するか、もしくは海へ散骨するか、大きくわけて3つの選択肢が考えられます。
永代供養墓とは
海への散骨について
改装の手続き
改葬の手続きをする遺骨を移動することは、正式には「改葬」といい、市区町村の役所が発行する「改葬許可証」がなければ遺骨を取り出すことはできません。
改葬の手順
※土葬の遺骨があった場合、受け入れ先の墓地で土葬の遺骨の埋葬を禁じていることが多いので、火葬が必要となります。その際は、役所へ改葬許可申請書を提出する際に火葬許可証の発行を求めます。
石材店を決める
石材店を決定する墓じまいをする際には、墓石を撤去し、墓所を整地して更地の状態で管理者(寺院など)へ返却しなければなりません。その工事を依頼する石材店を選びます。石材店は、工事のほかに遺骨を取り出すときの作業も行います。
遺骨の取り出しと墓石の撤去
遺骨を取り出す日時を決めて、遺骨をカロート(納骨室)より取り出します。抜魂法要などを営むこともあります。
墓石の撤去工事を行う
墓石を撤去し、整地して更地の状態で墓所区画を返却します。
ここまでの作業、早いケースでは1ヶ月くらいで手際よく行う人もいますが、親戚や寺院との話し合いが長引いたり、遺骨の移動先が見つからなかったりと、時間がかかってしまう人も多いようです。急いで行うとトラブルになりかねません。墓じまいを考えはじめたら、1~3年くらい時間をかけて行うつもりでいたほうが良さそうです。
墓じまいについて、段取りや手順について不明な点が出てきたら、石材店に訪ねてみると良いでしょう。長年営業している石材店であれば、過去事例をいくつも知っていますので、墓じまいの進め方を指南してくれるはずです。
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