無宗教式のお別れの会
ベテランから若いタレントさんまで、多くの方が青山葬儀所に集まりました
5月13日に青山葬儀所で営まれた「お別れの会」は特定の宗派によらない無宗教式で行われ、700人もの俳優仲間、友人・知人が集まりました。発起人は東映の岡田裕介氏、演出家の蜷川幸雄氏、歌舞伎俳優の中村吉右衛門氏など。式場の最前列に着席したのはNHK、民法各局の代表、映画会社代表、続いて「追悼の言葉」を述べた渡辺謙さん、名取裕子さん、松下由樹さん、石橋蓮司さんなどが着席しています。
お別れの会は開式の辞の後、1分間の黙祷でスタートしました。その後、約5分間ほど出演作のスライドが流れ、「追悼の言葉」と続きました。
最近の葬儀では、故人が生前よく聞いていた音楽などが式の前後で使用されるケースが多いのですが、今回はクラシック音楽がBGMとして流れていた程度。葬儀で使用する音楽の使い方は案外難しく、実はこれまで選曲や音量によっては時に耳障りに感じてしまうことが多々ありました。しかし今回は、ボリューム小さめで曲調の変化が少なく、場の雰囲気を邪魔しないお別れの場としてふさわしいBGMだったと思います。
中原中也の詩の朗読で献花
祭壇は、胡蝶蘭をメインに、カーネーション、トルコキキョウ、マム系など白で統一したシンプルなデザイン。外装なども幕やテントなど最小限にするかわりに、会食の場がセッティングされ、故人をゆっくり偲んでもらいたいという遺族や発起人の思いを感じ取ることができます。献花中は、NHKのラジオ番組で蟹江さんが担当した中原中也の詩の朗読が流されました。披露されたのは詩集「山羊の歌」より「サーカス」「臨終」「都会の夏の夜」「黄昏」「冬の雨の夜」「帰郷」「悲しき朝」「夕照」の8編。
蟹江さん独特の、落ち着いた口調に耳を傾けながら、各々が献花を進めていきます。この魂は いかにとなるか?
うすらぎて 空となるか?
~「臨終」より~
白っぽい和装はアリ?
著名人の葬儀の際は、参列者の喪服についての注目が集まりがちです。今回話題になったのは名取裕子さんの白い着物でしょうか。日本では古来より、遺族は白い喪服を着用することが正式とされていましたので(黒やグレーの時期もあり)、遺族の立場でないのに白い着物は失礼では、という意見があったようです。ただ、実際に近くで見た印象では、喪服の白というより白っぽい色無地の着物に黒の帯という組み合わせだったので、参列者の和装にあたる略式礼装の範囲内といえるでしょう。
前田敦子さん、能年玲奈さんなど、若いタレントさんの喪服も注目していましたが、お二人とも薄化粧、襟元の詰まったブラックスーツ、ワンピース等、正統派の着こなしで好感が持てました。
若い世代はマナーや作法に無頓着かと思いきや、実際の現場を見ると、葬儀慣れしていない若い人ほど、「知らない」がゆえにマナー系記事に目を通し、きちんと身なりを整えて参列する人が多いように感じます。ただし、中には胸元が大きく開いていたり、スカート丈が短い女性もいますので弔事の場合は肌の露出は控えめにすることを心がけて。特にこれから先、夏場は半袖やノースリーブの喪服を着用する場合、薄手の黒の上着を羽織るだけで上品な装いになります。