新時代のF1は下馬評通りメルセデス独走
1.6Lターボエンジン+ERS規定にリニューアルされた新時代のF1世界選手権は開幕戦から5戦を消化。オーストラリアから始まったフライアウェイ戦(ヨーロッパを離れて転戦するレース)を終えて、3週間のブレイクを挟んだ後のスペインGPまでの序盤5戦を振り返ってみよう。まず、序盤戦のレースを席巻したのは予想通り「メルセデス」だった。テストから好調な走りを披露し、マシンの信頼性も群を抜いた状態で迎えた開幕から5連勝。ニコ・ロズベルグが開幕戦で優勝し、第2戦からはルイス・ハミルトンが4連勝を続けており、実力的には「メルセデス」+他の10チームという構図で、ドキドキはやや少ない序盤戦になった感がある。
F1スペインGPのスタートシーン 【写真:Daimler】
さすがF1と言える信頼性。完走率は高い。
今シーズンのウインターテストは様々なトラブルでテストをまともに走れないマシンが相次ぎ、大混乱のシーズン開幕が予想されていた。レース中の燃料の制限もあり、全車リタイアも!? という話題まで登場するほどのバタバタぶりでの開幕だったが、開幕戦オーストラリアGPでは22台中14台が完走を果たし(1台は失格)、第2戦以降の完走率はどんどん高くなっている。心配された新パワーユニットのトラブルも開幕から2戦では頻発したものの、第3戦以降はほぼ昨年並みの信頼性を取り戻している。あれだけのバタバタぶりからの改善は驚くばかりだ。ルイス・ハミルトン 【写真:Daimler】
ただ、メルセデスのパワーユニットを搭載する「フォースインディア」と「ウィリアムズ」は昨年から大きな進歩を見せてランキング上位を獲得。一方で昨年ランキング4位の「ロータス」は開幕から4戦でノーポイント。第5戦スペインGPでようやくグロージャンが8位入賞を果たすことができたが、昨年比ではかなりの絶不調なのが何とも残念だ。波乱が少ないことで、パワーユニットの仕上がり具合、チームの規模、財政面、内情をひっくるめた現在の状況がそのままランキングに表れた格好といえる。