裸で食堂を横切って、お風呂に入るAさん家族
家族全員が裸で食堂を横切って歩く暮らしは、子どもたちが思春期になるまで続いた。
しかし、洗面脱衣室とキッチンがつながっていないので、お風呂に入る前に脱いだシャツや使ったタオルは、その都度キッチンの洗濯機まで運ぶ必要がありました。
だんだんメンドウになってきたAさん家族は、お子さんが小さな男の子たちだったこともあり、キッチンで服を脱いで洗濯機に放り込み、裸で食堂を横切ってお風呂に入るようになりました。そうなるとお父さんも同じようにキッチンで裸になるようになり、お母さんも誰も見ていない時は裸で食堂を走り抜けるようになりました。家族全員が裸で食堂を横切って歩く暮らしは、子どもたちが思春期になるまで続きました。
洗濯機の場所が問題とは気付いていなかった
洗濯機の位置が変わるだけでこんなに楽に便利に暮らせるなんてと驚いたAさん。
これでもう、裸で食堂を歩くことはなくなりました。リフォーム後、Aさんは、洗濯機の位置が変わるだけでこんなに楽に便利に暮らせるのか、と思ったそうです。
でもそれまでは、今までの暮らしが不便だとは気付いていなかった、不便なのが当たり前になっていて、自然とそんな風に暮らしていたそうです。もちろん洗濯機の場所が問題だとも考えたことは無かったそうです。ただお母さんは、子どもたちがもっと大きくなったら、この暮らしはどうなるんだろうと、漠然と思っていたそうです。
人は家の間取りに支配されている
寝室の方位で生活スタイルが変わることも。
例えば食品。それほど意識はしていなくても、冷蔵庫や冷凍庫に入る量を考えつつ買い物をしているはずです。また以前、本当はブーツが履きたいのに買えないから、寒い冬はパンツスタイルでいるという女性がいました。理由を聞いてみると、ブーツが靴箱に入らないから仕方がないとのことでした。
生活サイクルも間取りによって変わります。寝室が西向きの人は夏の夜に寝苦しいので遅くまで起きていて夜型になり、東向きの人は早起きになりがちです。他にも天井が低い家に住んでいると姿勢が悪くなりやすいなど、間取りによって、食事もファッションも生活スタイルも支配されているのです。
間取りを見ると暮らしが見える
洗濯機の位置ひとつで、その暮らしぶりが見えてくる。
間取りを見ると、そこに暮らしが見えます。例えば洗濯機の位置ひとつで、洗濯物を干すのが大変そうとか、乾いたらこの部屋で畳んで収納するのかなとか、雨の日はこの和室で干しているんだろうな、カビに悩まされていそうだなとか、その暮らしぶりが見えてきます。
ガイドYuuが出会ってきた人たちの中にも、長い暮らしで慣れてしまって不便に気付かないまま、こんなもんだと思い込んでいたり、諦めていたりした人がたくさんいました。
間取りに歴史あり
時代とともに生活スタイルが変わり、便利な間取りも変わっていく。
しかし最近では、キッチン~ユーティリティ(洗濯機置場)~洗面脱衣室という間取りが増え、この論争も一段落を見せています。時代に合わせて生活スタイルが変われば、間取りも変わっていきます。
間取りを変えれば暮らしが変わる
間取りを変えるリフォームというと、ハードルが高く感じられるかもしれませんが、ちょっと収納の大きさや向きを変えるだけ、洗濯機の位置をずらすだけでも、暮らしは変わります。もしかしたら食事もファッションも生活スタイルも変わるかもしれません。間取りを変えれば暮らしは変わるのです。Copyright(c)2014 一級建築士事務所 Office Yuu,All rights reserved.