ソウル/ソウルの観光・世界遺産

韓国最大の伝統行事、無形文化遺産の宗廟大祭

世界遺産である宗廟では、毎年5月に歴代王を祀る祭祀が行われています。この先祖祭祀は、ユネスコ世界無形文化遺産に登録されており、なかなか見ることのできない貴重な儀礼です。では少しだけ、宗廟大祭の雰囲気を見てみましょう!

松田 カノン

執筆者:松田 カノン

韓国ガイド

韓国最大の伝統行事、宗廟大祭

厳かな雰囲気の中行われる宗廟大祭。一度は見てみたい韓国の儀礼です(c)Korea Tourism Organization

厳かな雰囲気の中行われる宗廟大祭。一度は見てみたい韓国の儀礼です(c)Korea Tourism Organization

宗廟を一度は見ておきたい理由として、世界遺産だから……だけでなく、現在もこの場所で宗廟大祭(宗廟祭礼祭ともいう)という先祖祭祀が行われているという点です。この儀礼は朝鮮王朝の時代から続いているもので、重要無形文化財第56号に指定されているだけでなく、2001年にユネスコ世界無形文化遺産(人類の口承および無形遺産の傑作)に選ばれました。現在は毎年5月の第1日曜に行われており、見学も可能です。

当時の衣装に身をまとった王や祭管や従者たちが、景福宮から馬や徒歩で宗廟まで移動する御駕行列(オガヘンヨル)も、ソウルが急に朝鮮王朝時代にタイムスリップしたかのような光景になり見もの(※2014年は旅客船事故のため中止決定)。宗廟で行われる儀礼も、厳かに執り行われる祖先祭祀の崇高さや、従者たちがずらりと並ぶ光景に圧倒的な迫力があり、思わず時代を錯覚してしまうことでしょう。

五感で感じる儀礼と音楽

無形遺産にも登録されている宗廟祭礼楽、聴けるのは5月の宗廟大祭の時だけです!(c)Korea Tourism Organization

無形遺産にも登録されている宗廟祭礼楽、聴けるのは5月の宗廟大祭の時だけです!(c)Korea Tourism Organization

この祭礼は、神を迎え、神をもてなし、そして神を見送る、という順序で行われ、香をたいたり、食べ物や酒を捧げ、祝文を読み上げたりして祭祀を執り行います。朝鮮王朝の時代は終わったものの、今でも歴代王を祖先に持つ全州の李氏一族を中心にこの祭礼が行われており、この点も宗廟が歴史のドラマを感じさせる一つの理由でもあります。また、例えば宗廟の斎宮は、祭礼の準備が行われた場所でしたが、宗廟大祭でもこの場所で準備を行うなど、昔と同じ場所で、同じように儀礼を行う点も見所の一つです。 

さらに、この祭礼で奏でられる音楽もポイントです。祭礼が執り行われている間、宗廟祭礼楽が演奏され、文治と武功を表現した舞踏が繰り広げられます。この踊りは、弓矢や槍などを手にして踊ることで王たちの武功を賞賛しています。祭礼楽は、打楽器や弦楽器を用い、儀礼の間演奏されます。この宗廟祭礼楽は、韓国の重要無形文化財第1号として指定されており、宗廟大祭とともに、2001年にはユネスコの世界無形文化遺産に指定されました。

一年に一度しか見ることの出来ない宗廟大祭ですから、世界遺産や歴史に興味のある方は、この時期に合わせて訪韓スケジュールを組んで見てはいかがでしょうか。宗廟の歴史的意味を五感で感じられるチャンスです!

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宗廟大祭/종묘대제
宗廟のデータは上記記事を!

■2014年の宗廟大祭
日時:5月4日(日) 11:30~12:30御駕行列(※韓国で起きた旅客船セウォルホ号事故の為中止決定)、13:00~15:00永寧殿祭祀、 16:30~19:00正殿および功臣堂祭祀
入場料:無料
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