日本代表・Jリーグ/ワールドカップ最新コラム

W杯出場国最新分析・グループF&G&H順位予想

ブラジルW杯の出場32か国を、グループステージの組み合わせごとに分析していく集中連載の第3回。今回はアルゼンチンのグループF、隠れた”死の組”とも言えるグループG、ベルギーの強さが目を引くグループHを、各国の最新情報とともに予想していく。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

グループFはアルゼンチン優位

1位)アルゼンチン
2位)ボスニア・ヘルツェゴビナ
3位)ナイジェリア
4位)イラン

<世界屈指のトライアングルは止まらない>

「南米大陸開催の大会は、南米勢が優勝する」というW杯のジンクス。アルゼンチンの予選グループ突破は、まず間違いなさそうだ。

「南米大陸開催の大会は、南米勢が優勝する」というW杯のジンクス。アルゼンチンの予選グループ突破は、まず間違いなさそうだ。

ワールドカップにはいくつかのジンクスが存在し、そのひとつに「南米大陸開催の大会は、南米勢が優勝する」というものがある。このジンクスが今回も守られるとすれば、開催国ブラジルかアルゼンチンが頂点に立っているはずだ。

1986年大会以来の優勝を目ざすアルゼンチンは、世界的メガスターのメッシ(26歳)に頼るチームではない。彼とイグアイン(26歳)、アグエロ(25歳)が形成する3トップは、驚異的な破壊力を秘める。カウンターアタックはもちろん攻撃をスローダウンさせられた展開でも、3人でシュートまで持ち込める連携と「個」の力がある。

前線のトライアングルを支えるタレントも強者揃いだ。ロングレンジのドリブルが得意なディ・マリア(26歳)は、他チームなら主役をはれる選手だ。また、攻守のつなぎ役となるマスチェラーノ(29歳)とガゴ(28歳)の献身さは、チームに安定感をもたらしている。ディフェンスにやや不安を残すものの、攻撃陣が計算どおりに働けばグループステージ突破は間違いない。

2位に推したボスニア・ヘルツェゴビナは、身体能力と技術を兼ね備えた選手が集結する。2トップを形成するジェコ(28歳)とイビシェビッチ(28歳)は、それぞれイングランドとドイツでプレーする。彼らが得点を奪う必勝パターンへ持ち込めれば、2位通過は現実的だ。
 

実は”死の組”のグループG

1位)ドイツ
2位)ポルトガル
3位)ガーナ
4位)アメリカ

<ドイツは盤石だがポルトガルは危うい?>
前評判が高いのはドイツとポルトガルだ。

前回大会得点王のトーマス・ミュラー(24歳)、テクニックに溢れる司令塔のエジル(25歳)らタレントが揃うドイツは、優勝候補の一角に名を連ねる。1954年大会以降は最低でもベスト8まで勝ち上がっているだけに、グループステージで敗退するとは考えにくい。

ポルトガルにはクリスティアーノ・ロナウド(29歳)がいる。日本のファーストフードとコラボ商品を発表したロナウドは、メッシとともに世界のサッカーを牽引するスーパースターだ。香川真司と同じマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に在籍するナニ(27歳)も、スピード豊かなチャンスメーカーだ。彼らふたりだけでなく各ポジションに、クオリティの高い選手を擁している。

だが、ガーナとアメリカはアウトサイダーではない。

攻撃的なパスサッカーを展開するガーナは、06年大会ベスト16、10年大会ベスト8と実績を残してきた。本田圭佑とともにACミランでプレーするエッシェン(31歳)とムンタリ(29歳)、内田篤人と同じシャルケ(ドイツ)に在籍するボアテング(27歳)、前回大会で3得点をあげたギャン(28歳)ら、経験と実績を兼備した選手がズラリと並ぶ。アフリカ勢が大会を盛り上げるとしたら、その筆頭候補はガーナだ。

アメリカも前回大会で16強に食い込んだ。ゴールキーパーのハワード(35歳)、攻撃を操るデンプシー(31歳)とドノバン(32歳)、点取り屋のアルティドール(24歳)と、チームを支えるセンターラインに頼もしい選手が並ぶ。ドイツ人監督のクリンスマン(49歳)は、06年大会で母国をベスト4へ導いた。

ガーナ、アメリカのどちらかが2位に食い込んでも、決してサプライズではない。ドイツとポルトガルは、“死のグループ”へ臨む気持ちだろう。

 

波乱なきグループH

1位)ベルギー
2位)ロシア
3位)韓国
4位)アルジェリア

<欧州の2か国がリードする展開に>
ベルギーの首位通過は手堅い。

W杯出場は3大会ぶりだが、ヨーロッパのトップクラブで活躍する選手がスタメンを固める。左サイドアタッカーのアザール(23歳)は、今大会屈指のヤングスターだ。

ストライカーのベンテケがケガで欠場することになったが、代わって先発に昇格するルカク(21歳)も190センチの大型フォワードだ。チームの得点力にかげりはない。

ロシアも3大会ぶりの出場だが、欧州ナンバー1を決めるユーロには08年、12年と連続出場している。昨年まで本田圭佑が在籍したCSKAモスクワのGKアキンフェエフ(28歳)、センターバックのイグナシェビッチ(34歳)とヴァシリ・ベレヅツキ(31歳)がトライアングルを組む最終ライン中央は、堅実さと強さを生かしてゴールにカギをかける。

攻撃では国内の強豪ゼニトの点取り屋ケルジャコフ(31歳)が、相手ゴール前で存在感を見せつける。前評判は決して高くないロシアだが、今大会のダークホース的存在と言っていい。

アジア代表の韓国は、過去2大会連続で出場しているパク・チュヨン(28歳)のコンディション次第だ。イングランドのクラブに所属する彼は、細菌性皮膚炎を患い韓国国内で治療を受けた。そのまま国内に止まり、4月末からリハビリをスタートさせている。

「W杯を勝ち抜くには経験が必要」と話すホン・ミョンボ監督(45歳)は、今年に入ってベテランを招集している。かつてJリーグでもプレーした指揮官は、パク・チュヨンのコンディションをギリギリまで見定めるつもりだ。


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