逆転したのは
逆転に成功したのは二週目の伸びが最高の『ファーストクラス』。初回はフジ系土ドラ枠の他の作品と比べても低い6%台で、「沢尻エリカ終わった」と報道されていました。たしかに沢尻エリカの旬は去ったのかもしれませんが、ドラマの内容としてはよく、さらに直前に放送されていた映画が『テルマエ・ロマエ』という幸運もあり、9%台とジャンプアップに成功しています。普通イジメものは理由がよくわからないものが多いのですが、『ファーストクラス』の場合は心の声が聞こえるため、イジメる側の論理がよくわかることがポイントでしょう。『ごちそうさん』でも和枝(キムラ緑子)の立場からするとめ以子(杏)みたいな嫁に来られると自分の立場がない、とよくわかるところが好評でした。
『アリスの棘』も、あまり期待されていなかった割には健闘しています。復讐ものということで、血なまぐさいドラマを予想していたのですが、殺すまではせずに社会的生命を断つところに留めていて見やすくなっています。
『半沢直樹』で、浅野支店長(石丸幹二)に対して刑事告発まではしなかったことにより半沢は出世しましたが、大和田常務(香川照之)に対しては土下座までさせて自分も出向に。勧善懲悪もとことんまで追い詰めずに許す余地を作っておいたほうがいいということでしょうか。安心して楽しめる
手堅いところでは『続・最後から二番目の恋』。大人の恋愛ドラマが安心して楽しめます。新登場人物で注目は千明(小泉今日子)の元カレ、高山涼太(加瀬亮)。「第一回JMT新人シナリオ大賞受賞」というとモデルは「第一回フジテレビヤングシナリオ大賞」を受賞した、このドラマの脚本家・坂元裕二自身でしょうか? さらにヤングシナリオ大賞受賞作『GIRL-LONG-SKIRT~嫌いになってもいいですか~』を演出したのはこのドラマのメイン演出の宮本理江子だし、現実とリンクしていくのかもしれません。
逆転は無理?
低視聴率だけどガイドがおすすめするのは『ブラック・プレジデント』。「サービス残業は貯金だ!」などの三田村(沢村一樹)の名言(?)がブラック企業とはなにか? を考えさせてなかなか興味深いと思います。しかし、そんなブラックなドラマ、多くの人は見たくないんでしょう……。たくさんある刑事・事件ものはほぼ壊滅状態。『MOZU』がハード過ぎて連ドラにはなじまないだろうというのは予想通りでしたが、刑事ものを得意とするテレビ朝日までも低迷。
原因は差別化しようとしてひねりすぎていることでしょう。刑事・事件ものは安心感も重要なだけに、素直につくった方がいいと思うんですけどね。
視聴率グラフ