モータースポーツ/その他のモータースポーツ関連情報

カワサキが鈴鹿8耐への本格参戦を正式発表(2ページ目)

2014年の鈴鹿8耐にはカワサキのトップチーム「Team Green」が22年ぶりに帰ってくる。久しぶりに4大メーカーが総合優勝をかけて争う鈴鹿8耐はここ最近にはなかった盛り上がりを見せそうだ。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

カワサキの8耐と「Team Green」

カワサキのバイクは1978年の第一回大会から鈴鹿8耐から参戦している。黎明期には「チームカワサキ」としてワークスライダーが参戦したほか、レース用バイクのコンストラクターである「モリワキ」が、カワサキの名車「Z1」のエンジンをベースに作られたオリジナルバイク「モリワキモンスター」で活躍した。

川崎重工業が1984年をもってロードレースにおける活動を凍結したため、社内有志らの努力で結成された「Team Green」が85年以降のレース活動を担う。この時代にはコーク・バリントンらの名ライダーが活躍するが、鈴鹿8耐の優勝には手が届かなかった。そして、「Team Green」の8耐における活動は1992年をもって休止。1993年からは川崎重工業のワークスチームが活動を始める。
バリントン

8耐黎明期のスター、コーク・バリントンは鈴鹿50周年イベントで来日した。 【写真提供:MOBILITYLAND】

その1993年は当時のTT-F1規定(750cc)最後の年。「伊藤ハムレーシング・カワサキ」(スコット・ラッセル/アーロン・スライト)がワークスマシン、ZX−7Rを駆り、カワサキにとって悲願の鈴鹿8耐初優勝を成し遂げることになる。その後もカワサキのワークスチームはホンダ、ヤマハ、スズキとのワークス戦争で奮闘するも、2001年を最後に鈴鹿8耐からは撤退。「Team Green」は全日本ロードレースへの参戦は続けていたものの、鈴鹿8耐への参戦は実現しなかった。

過去36回の鈴鹿8耐の歴史を振り返ると、2009年にプライベートチームの「トリックスター」が2位表彰台を獲得したものの、カワサキの優勝は結局、1993年の1回だけ。「Team Green」は21年目ぶりの勝利を狙う。

最高時速303.9km/hの速さが武器に

「Team Green」が走らせるマシン、カワサキZX-10Rは2011年にフルモデルチェンジしたマシン。レースで勝利する事を目的に作られた新設計のバイクは、昨年ワークス参戦するスーパーバイク世界選手権でトム・サイクスが見事チャンピオンを獲得した。そのマシンの国内での開発部隊を担うのが「Team Green」の面々。全日本ロードレースでもそのポテンシャルの高さは証明されつつあり、戦闘力を増している。
渡辺一樹

全日本ロードレースJSB1000を主戦場にしていた「Team Green」。写真のライダーは渡辺一樹。

ZX-10Rの強みは何といってもストレートスピードの速さ。強大なパワーを絞り出すエンジンは4メーカーのバイクの中で最速のスピードを誇り、2014年の全日本ロードレースJSB1000クラスの開幕戦では、柳川明が303.9km/hの最高速をマークしている。このストレートスピードの速さは魅力的だ。なぜなら、鈴鹿8耐で優勝を飾るには大量の周回遅れをパスしていかなくてはならない。コーナーで無理をして抜いて行くよりも、ストレートで最高速の速さを活かしてパスした方がマシンにもライダーにも負担が少なくて済むからだ。また、ZX-10Rはルマン24時間レースなどの長時間耐久レースでも勝利を重ねており、耐久性の高さも大いに証明されている。他メーカーにとって強敵になることは間違いない。

そして、ライダーラインナップも全日本レギュラーの柳川明、渡辺一樹に加えて、ロードレースアジア選手権を戦う藤原克昭を起用。息のあったカワサキライダー3人のラインナップはチームの大きな力になるだろう。現時点での不安材料をあげるとすれば、チームが長きに渡って耐久レースから遠ざかっていること。ここ最近の8耐を経験しているスタッフは少なく、初めての耐久レースに挑むことになるスタッフも居るが、そこはチームの結束力でカバーしていくことになるだろう。意地の見せ所で「Team Green」がどこまで粘り強さを見せる事ができるかが大きなポイントになる。この辺も興味深い。
柳川明

柳川明と渡辺一樹 【写真:MOBILITYLAND】

何が起こるか分からないのが鈴鹿8耐の難しさ。そういう意味ではワークスに限りなく近い存在と言えるカワサキ「Team Green」の参戦は8耐をさらに面白い展開にしてくれるに違いない。

カワサキモータースはカワサキユーザーのイベント「コーヒーブレイクミーティング」を鈴鹿8耐の中でも実施。レースを見ない若い世代にも8耐の魅力やバイクレースの楽しさを知ってもらおうという企画を行う予定だ。

【関連リンク】
鈴鹿8耐への参戦発表(Kawasaki Global Racing Information)
鈴鹿8耐 公式サイト


  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます