レーシングカー、その速さの秘密

当たり前のことだが、レースを戦うクルマ「レーシングカー」は市販車とは比べ物にならないくらい速い。では、「その速さの秘密は一体何なのか?」
そんな疑問を持ったことはないだろうか?

今回は「レーシングカーがなぜ速いか?」という素朴な疑問にお答えすべく、レーシングカーの構造、技術について分かりやすくご紹介しながら、その魅力に迫っていきたい。レーシングカーのことを知れば、きっとさらにレースを楽しめることだろう。
最新のGT500レーシングカー、HSV-010GT

レースは運転手の戦い+技術者の戦い

自動車という道具を使うモータースポーツでは、どんなに優れた運転技術とセンスを持ったドライバーであっても「速いクルマ」が無ければ勝利を掴むことができない。

そんなことは誰しもが分かり切ったことかもしれないが、レースを戦うクルマが「速いクルマ」であるためには何をどうしたら良いのかを一口で説明しろと尋ねられても、誰もが頭を悩ませてしまうだろう。レーシングカーを作っている人なら、その秘密を熟知しているわけだからシンプルに述べることができるだろうが、そこに至るまでには相当な日々の学習が必要になってくるというものだ。

とはいえ、熟知した人が常に一番「速いクルマ」を作れるのかというとそうではない。世界で最も知識を持った人が一番「速いクルマ」を作ったとしても、その知識や奇抜なアイディアは他の人によって研究され、理解され、そして模倣され、やがては追い越されてしまうというのが世の常だ。

そう、クルマを作る人たちも競争をしているのだ。
スタート前に入念にマシンの状態をチェックするメカニック達。

一見ドライバーの実力勝負に見えてしまいがちなレースの世界であるが、影では技術者たちが見えない敵のアイディアと競争し、さらに誰にも見えない新しいアイディアをどこからか絞り出して戦っている。例え、それがルール上、新しい技術を禁止するものであっても、技術者たちはルールに書かれていない部分を読み取ってクルマを速くする努力を惜しまない。こうして、レーシングカーは速くなり、今の形へと変化してきたのである。もちろん20年後、レーシングカーは今の形からは想像もつかない形になって存在しているかもしれない。
約25年前のF2マシン。現在のフォーミュラニッポンに当たるレースのチャンピオンカーであるが、今見るとデザインはレトロというかずんぐりしていて不格好だ。それでも当時はF1に匹敵するトップレベルのマシンだった。
レースを見る上で、まずはその技術者たちの存在を意識するとより面白い。彼らはめったに表舞台には出てこないが、ボルト1本を作る人だって努力をしているということをまずは知って頂きたい。

哲学的な話はこれくらいにして、次のページからは具体的にレーシングカーの速さの秘密に迫って行こう。