氏名はできれば6字以内に
画数よりも文字数が大事
Q:名字の画数が多い場合、名前の画数が少ないと、バランスがわるくなってしまうのでしょうか。名前の最後の字の画数を多くしたほうが最後に締まる印象になるものなのでしょうか?A:一般的には氏名を縦書きにした時に、下に来る字が画数が多いほうが安定して見える、と言われる方は多いようですが、見た目のバランスというのは人によって印象、好みがバラバラで基準が作れません。基本的には親がどう見えるかであって、つける親に違和感が無ければいいのです。しかも名字の画数が多いのに、名前の画数まで多くしますと、書くたびに面倒な氏名にもなってしまいます。
見た目のバランスのことよりも、実際に問題になるのはむしろ文字数のほうです。氏名の文字数については法的な制限はありませんが、社会生活上はできれば氏名全体で6文字以内にしておくと良いでしょう。氏名欄に6文字しか書きこめない不親切な用紙がたまにあるからです。
画数の多い名字の例
一般によく知られている長い名字としては、小比類巻(こひるいまき)さん(34画)、長曽我部(ちょうそかべ)さん(37画)、勅使河原(てしがわら)さん(35画)などがあります。しかしこれらは文字数では4文字で、合計画数も40画に届きません。世の中にはさらに文字数や画数の多い名字も存在します。日本で一番文字数の多い名字は、左衛門三郎(さえもんさぶろう)さん(41画)と、勘解由小路(かでのこうじ)さん(45画)という5字の名字ですが、これでは2字名前をつけただけで7文字の長い氏名になってしまいますから、名づけも苦労してしまいます。しかも左衛門三郎さんは、名字だけを言ったり書いたりしても、氏名全部なのだと誤解される苦労もつきまといます。
ちなみに4字名字でも画数が40画を超えるものがあります。以下にあげたように、珍しくてあまり知られておらず、読み方も難しいものが多いようです。
- 41画の名字……伊勢馬場(いせばば)、美多賀鼻(みたがはな)、信濃小路(しなのこうじ)、渡嘉敷(とがしき)さん
- 42画の名字……鷺野谷(さぎのや)、深渡瀬(ふかわたせ)、鬼露野(おろの)、鎌須賀(かますか)さん
- 43画の名字……談議所(だんぎしょ)、鬼籠野(おろの)、新藤間(しんとうま)、寶都賀(ほうつか)さん
- 44画の名字……鷹部屋(たかべや)、道祖瀬戸(さやんせと)、御菩薩木(みぞろき)、網部物部(よさみべもののべ)、翠簾野(みすの)さん
- 45画の名字……櫻屋敷(さくらやしき)、幡多幡美(はたばみ)、柵養蝦夷(きかうえぞ)、葛籠貫(つづらぬき)さん
- 46画の名字……御菩薩池(みぞろち)、護摩堂(ごまどう)さん
- 48画の名字……熊野御堂(くまのみどう)さん
- 49画の名字……鍛治屋敷(かじやしき)さん
- 50画の名字……鷹養部(たかかいべ)さん
姓と名の区切りにも注意
姓と名の区切りを間違える氏名は社会生活で余計な混乱がおきますが、文字数の多い、珍しい名字の場合はとりわけそうしたことが起きやすいので注意が必要です。たとえば「越後貫太郎」という氏名を見れば、おそらく誰もが「えちご・かんたろう」と読むはずです。まさか「おごぬき・たろう」さんだとは思わないでしょう。同じように、「難波江莉花」(なんばえ・りか)という氏名にすれば、「なんば・えりか」と読まれてしまうでしょう。富賀美華(ふかみ・はな)という氏名にしたなら、「とみが・みか」と読まれ、御園生悟(みそのう・さとる)という氏名にしたなら、「みその・せいご」、蝶間林香(ちょうまばやし・かおり)という氏名にすれば「ちょうま・りんか」と読まれてしまうことも多いはずです。珍しい名字のかたは名づけの際にそのような注意も必要になってくるのです。