「斗」の漢字は闘争ではなく「ヒシャク」を意味する
「斗」の漢字の意味は闘争を表すと考えている人も多いが、実は関係ない
A:これは文字の混同です。中国で簡略字体という字体が制定された時、闘の字が斗の字に替えられ、日本でも労働組合や全学連が、春闘を「春斗」、闘争を「斗争」と書いたりしたので、斗の字から闘争を連想する人もいるのです。
闘と斗は本来まったく別の漢字で、意味も違います。斗はヒシャクを描いた絵で、北斗七星の名に残り、モノをはかる単位でもありました。料(穀物をはかる)や、科(分けられた穀物)の字も作られ、今も分けられたものを「○○科」などと呼びます。また鬼(頭の大きい幽霊)と斗(先が大きいヒシャク)を合わせた魁(カイ)の字も名前に使われます。頭を強調する字で「第一」「トップ」の意味で使われました。ちなみに花魁(おいらん)は、頭を派手に飾った人のことを指してこう呼ばれたようです。
「巳」「灯」「燈」……「斗」以外のよくある漢字の意味混同
字の混同は誰にもあることで、私達も日常やっています。「一生懸命」と書かれるのも、正しくは一所懸命(一つの所に命をかける)です。「気を使う」という書き方も「気を遣う」でしょうし、格闘技も正しくはテヘンの挌闘技であり、植民地も正しく殖民地と書かなければ意味が通じません。木を植えるのではなく、人を移住させて増やすのですから。名前にも使われる「巳」の字は、十二支でヘビが割り振られたためヘビの意味だと思う人もいますが、巳の字はヘビとは関係なく、胎児を描いた絵で、包まれることを表します。包(つつむ)、妃(世継ぎを生む女性)の字の中の己の字ももとは巳の字でした。
「灯」と「燈」は同じ字だ、とよく説明されますが、字の成り立ちは違います。登はご存じのように高いことで、燈は高い所から照らす明かりです。丁は打、釘、汀(波うちぎわ)の字にあるように、ぶつかることを表しますから、灯は壁などに取り付けた照明のことです。ですから灯台は本当は燈台であり、持ち歩いて道を照らす明かりは懐中電灯ではなく懐中電燈と書かなければおかしいのです。
「斗」の漢字を使った男の子の名前例
斗の漢字は、男の子の名前によく使われる人気の字です。名前の例を人気順にあげておきます。海斗(かいと)・悠斗( ゆうと)・優斗( ゆうと)・陸斗( りくと)・陽斗( はると)・隼斗( はやと)・健斗(けんと)・拓斗(たくと)・柊斗(しゅうと)・勇斗(ゆうと)・瑛斗(えいと・あきと)・琉斗(りゅうと)・雄斗(ゆうと)・真斗(まさと)・駿斗(しゅんと)・雅斗(まさと)・賢斗(けんと)・秀斗(しゅうと)・北斗(ほくと)・蓮斗(れんと)・啓斗(けいと)・温斗(はると・あつと)・春斗(はると)・竜斗(りゅうと)・櫂斗(かいと)・岳斗(がくと)・直斗(なおと)・晴斗(はると)・楓斗(ふうと)・和斗(かずと)・恵斗(けいと)・翔斗(しょうと)・大斗(ひろと)・唯斗(ゆいと)・蒼斗(あおと)・彰斗(あきと)・暁斗(あきと)・快斗(かいと)・寛斗(かんと・ひろと)・慶斗(けいと)・圭斗(けいと)・聖斗(せいと)・泰斗(たいと)・凪斗(なぎと)・樹斗(みきと)・力斗(りきと)・晶斗(あきと)・英斗(ひでと)・楽斗(がくと)・貴斗(たかと)・崇斗(たかと)・尚斗(なおと)・珀斗(はくと)・将斗(まさと)・来斗(らいと)・明斗(あきと)・新斗(しんと)・郁斗(いくと・ふみと)・奏斗(かなと)・建斗(けんと)・煌斗(こうと)・惺斗(せいと)・成斗(せいと)・嵩斗(たかと)・洋斗(ひろと)・広斗(ひろと)・弘斗(ひろと)・夢斗(ゆめと)・彬斗(あきと)
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