2015年の相続税改正、アベノミクスと景気回復による地価上昇などを受け、併用住宅の盛り上がりを書いてきましたが、それに重なる戸建トレンドとしてあるのが「多層階」いわゆる「戸建の中高層化」。このほど工業化住宅で初めてとなる7階建てが登場。多層階にすることで生まれる経済的メリットについても紹介していきます。
相続税課税対象者が倍増?
工業化住宅初の7階建て「ビューノ・セブン」
消費税が5⇒8%に引き上げられた今、次の大波として控えているのが、2015年1月1日以降の相続にかかる相続税の増税。具体的に内容をまとめると、現行の基礎控除(5000 万円+1000 万円×法定相続人の数)が、平成27 年1 月1 日以後の相続からは、基礎控除(3000 万円+600 万円×法定相続人の数)に引き下げられます。
たとえば、法定相続人が3人の場合には、基礎控除は5000 万円+1000 万円×3 人=8000 万円から、3000万円+600 万円×3 人=4800 万円に引き下げられます。8000万円も相続財産はないと思っていた人も、4800万円は多くの対象者が出てくる金額。ある推計によると、東京国税局管内(東京都・神奈川県・千葉県・山梨県)では相続税の課税対象者が7%→14%に倍増するとも言われています。
こうした相続税対策として自宅の建替えが有効になるのは、たとえば多層化して店舗や賃貸など収入を得られる形にしておけば、増税で多額を取られる税金の足しにできるから。収入型住宅にしておけば、相続後もずっと収入を得続けることができ、先行きや年金不安な時代の生活安定材料にもなります。
工業化住宅初の7階建て住宅
相続税増税で増えそうな消費者向けセミナー会場も増える気配(ビューノ川崎)
こうした流れを受け、パナホームは4月16日に工業化住宅初の7階建て住宅「Vieuno7(ビューノ セブン)」を発売。同社はこれまでも5階建てを展開してきましたが、プラス2階分のスペースが生まれることで、賃貸世帯を増やして家賃増で賃貸経営をさらに安定させたり、収入優先で賃貸にすることで諦めていた二世帯住宅や店舗・ガーレジ併用も実現しやすくなります。
この7階建を支える技術は、3-7階までシームレスにつなぎ、耐力壁の必要がなく、鉄骨柱と梁のみで支えられる重量鉄骨ラーメン構造。柱が少なくて済むため、工業化住宅最大(同社)の8100ミリ(8メートル)全く柱のないワイドスパン空間が実現するとしています。
新工法は耐力壁や柱が少なくて済むため、大空間が実現し、賃貸室のリノベーションもしやすくなる
また同社のNS構法は、立体構造解析により上層階ほど柱が少なくできます。重みのくる1-4階は例えば柱本数12本が、重みがより軽くなる5-6階では8本、最上階の7階は6本ですみ、耐力壁もないため、リフォームや賃貸へのコンバージョンも容易に可能。見晴しの良い最上階はオーナーの自宅部分となることも多く、明るく開放的なLDKを楽しみやすいプランに適しています。
では次ページで、7階建てなど多層階にすることで生まれる経済メリットについてみていきましょう。