シーモアグラスのささやかで偉大な歴史

絵本とアートの小宇宙

絵本とアートの小宇宙!

現在は濃密な絵本宇宙となっているシーモアグラスも、96年のスタート当初は「絵本が多めの喫茶店」程度だったそう。元から絵本の世界を愛し、2人の子どもの母親でもある坂本さんが自宅の蔵書を少しずつシーモアグラスの書架に並べていくうちに、常連客たちも自分のお薦めの一冊を持ちこんだりして、いつしか膨大なコレクションへと成長していきました。
田村セツコさんはSEE MORE GLASSで個展を開いたことも。

田村セツコさんはSEE MORE GLASSで個展を開いたことも。

坂本さんが発行する『SEE MORE PAPER』(わずか10円)がまた素敵なのです。B4版1枚両面の上に、イラストレーターの描きおろしの絵、坂本さんが毎回ひとつずつ愛情をこめて紹介する「お店にあるもの」、小野明さんの絵本レビュー、イラストレーターのマツヤマ・アキオさんの「小さなお話」などがぎっしり集められています。
今日はどの一冊と共に過ごしましょうか。

今日はどの一冊と共に過ごしましょうか。

カフェや喫茶店の姿は店主の心を反映していると感じることが多いのですが、18年の歳月を経て、心の片隅に蜜柑色の小さな光をともしてくれるろうそくのようなシーモアグラスは、まさに坂本さんそのものでした。

しかし、どれほど店主が日々の努力を積み重ねようと、またどれほどお客さまに大事にされていようとも、東京の個人経営の小さな喫茶店やカフェの生命はいつも風前のともしび。原宿京セラビルの地階は閉店が相次いて完全なシャッター街と化し、なすすべもない坂本さんは心細げです。
このフロアに個性的な本屋さんなどが入居してくれたら面白くなりそうなのですが、どなたか物件をお探しではありませんか?

このフロアに個性的な本屋さんなどが入居してくれたら面白くなりそうなのですが、どなたか物件をお探しではありませんか?

サリンジャーが綴った、繊細で不可解で痛ましい青年シーモア・グラス。小説世界で彼が死を選んだ日は“パーフェクト・デイ・フォー・バナナフィッシュ”でしたが、どうかこの喫茶店に「バナナフィッシュにうってつけの日」がやってくるのが20年後か30年後でありますように。

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