たぶん、原価はめちゃくちゃ安い! そして、マクドナルドの利益は大きいように思います。ファーストフード業界において代表的な会社は、やはり日本マクドナルドホールディングス(以下、「マクドナルド」)。マクドナルドは、デフレ時代には100円マックなどの戦略によって、業績は好調でした。しかし、最近は中食の台頭やデフレ脱却(節約疲れ)など消費者の嗜好が変化し、マクドナルドの業績は低迷し、とうとう社長交代となりました。
マクドナルドに強い逆風が吹いているならば、同業他社の日本ケンタッキー・フライド・チキン(以下、「KFC」)や、モスフードサービス(以下、「モスバーガー」)の現在そして将来の業績はどうなるのでしょう?
ファーストフードから客が離れている!
マクドナルド、KFC、モスバーガーの過去5年間の売上高と営業利益の推移を見てみましょう。※KFCの2010年3月期は、決算期の変更により16か月分の業績となっているため、通期実績を16分の12する事で調整しています。また、KFCの2009決算の欄には、2008年11月期の業績を記載しています。
このグラフから3つのことが分かります。
(1) マクドナルドの売上、営業利益が非常に大きい。
マクドナルドの売上高は、KFCやモスバーガーの約4倍(5年間単純平均)、営業利益は約10倍(5年間単純平均)となっています。
(2) マクドナルドの売上高と営業利益が急速に減っている。
好調だったマクドナルドの業績が、急激に悪化しています。
(3) 競合他社の売上高が増えていない。
マクドナルドの売上高が減少した分、KFCやモスバーガーの売上高が増加しているかというと、そうではありません。KFCやモスバーガーの売上高は、横ばいです。
以上のことから、次のように推測できます。すなわち、「KFCやモスバーガーは、固定客から継続して支持されている。それに対してマクドナルドは、顧客から離れられており、離れた顧客は他のファーストフードではなく、その他の業界にシフトしてしまっており、ファーストフード業界そのものから離れてしまっている。」ということです。マクドナルドが飽きられてしまっていると言えるでしょう。
でもちょっと待ってください。売上や営業利益の額は店舗数が多ければ、金額は大きくなりますし、不採算店を閉鎖して店舗数が減れば小さくなります。そのため、数字が小さくなったからといって、顧客離れが起こっているとは言い切れません。
そこで、マクドナルドとモスバーガーの店舗数と1店舗当たりの売上推移を見てみましょう。
このグラフからわかるように、マクドナルドの店舗数はモスバーガーの店舗数の約2倍です。さらに、1店舗あたりの売上も約2倍です。つまり、マクドナルドはモスバーガーと比べて、店舗数が大きいだけでなく、効率性(1店舗当たり売上)も優れているといえます。
しかし、不採算店を閉鎖し店舗数を減らせば、1店舗当たり売上は増加するはずです。ところが、マクドナルドの1店舗当たり売上は、2010年にいったん回復したものの、その後微減傾向です。やはり、マクドナルドから顧客が離れていると考えられます。では、その原因は何でしょうか?