人口減のなか、さらに他の業界にシェアを奪われている!

3月1日の日経BPの記事の中で、日本マクドナルド元社長の原田泳幸さんは次のようにおっしゃっています。

「日本の外食産業の市場規模は年間7.7兆円と言われています。対して、家庭で食べる内食は、食材費だけでも年間21兆円です。外食産業の原材料が売上高の3分の1とすると、「21兆円×3」で、内食が全て外食に置き換われば、63兆円に市場が膨らむ計算になる。つまり、外食産業には63兆円分の潜在需要があるわけです。

日本の外食産業の市場規模は7.7兆円です。マクドナルドの売上が約3,000億円なので、外食産業での優位性を継続すれば、まだまだ業績が拡大する潜在能力はあるのでしょう。また、家庭で食べる内食は食材費で21兆円、外食産業における売上に換算すると、63兆円です。つまり、日本において一日3食の食事の市場規模は、外食産業の売上換算で84兆円です。その84兆円を外食(ファーストフード、ファミリーレストラン、高級レストラン)中食(スーパーの惣菜やデパ地下)、内食(家庭での調理)で奪いあう必要があります。

では、ファーストフード業界と他の外食業界との競争は、どのような状況でしょうか?

不景気になって高級レストランの需要が減少すれば、安いファーストフード需要が増加するでしょう。一方で、好景気になれば、高級レストランや高級食材の需要が増加して、ファーストフードの需要は減少するでしょう。つまり、景気回復や脱デフレの流れは、ファーストフード業界にとって逆風になります。

ファーストフード業界と中食業界との競争は、どのような状況でしょうか?
最近はスーパーやデパ地下、コンビニなどでも安くておいしい惣菜を買うことができます。セブンイレブンのセブンプレミアムは、少し高いけど非常においしいと評判です。関西では百貨店戦争といわれるほど、多くの百貨店が開業し、デパ地下にもおいしい惣菜がたくさん販売されています。惣菜を買うと、ファーストフードの需要は減少するでしょう。

中食ブームは、ファーストフード業界において、やはり強い逆風です。

つまり、マクドナルドが業績を拡大するためには、KFCやモスバーガーとの競争だけを考えれば良いのではありません。先ほどのグラフで見た通り、マクドナルドの売り上げが下がっても、KFCやモスバーガーの売上は増えていません。むしろ、それ以外の外食業界や中食業界との競争の方がむしろ激しくなっていると考えられます。

マクドナルドが業績拡大のために考え得ることは次の3つです。
1)外食産業において、その他の外食業界に対する優位性を構築する。
2) 84兆円の市場規模のうち、外食に振り分けられる割合を増加させる。
3) 84兆円の市場規模を増加させる。

1番目の「外食産業における優位性」はファーストフード業界だけでなく、高級レストランなどとの勝負をしなければいけないので、景気回復局面の現在においては、非常に厳しいといえます。

2番目の「84兆円の市場規模のうち、外食に振り分けられる割合を増加させる」は、朝マックや24時間営業の店舗展開、さらには外食産業全体として、外食の需要を増加させようとしています。しかし、デパ地下やコンビニなどの中食ブームにより、やはり厳しい現状といえます。

3番目の「84兆円の市場規模を増加させる」とは、つまり人口が増加するということです。これが実現すれば、最も簡単に業績拡大させることができるでしょう。人口が増加すればマクドナルドを利用する人も自然と増加するでしょう。

あるいは、一日4食になれば、マクドナルドを利用する機会は増えるでしょう。しかし、日本の人口は減少傾向にありますし、一日4食になることはまずないでしょう。むしろ、朝食を食べない人が増えるかもしれないくらいです。つまり、84兆円の市場規模が拡大することは期待しにくいのです。

このように、マクドナルドは、人口減という構造的要因と、他業界にシェアを奪われるという競争的要因のダブルパンチで、業績が悪化していると考えられます。