はじめに
試験は嫌なものです。それも、資格の剥奪につながる試験だとしたら……。遠く名古屋の地で、突然、3時間後に試験を突き付けられた不始末体験記です。届出済行政書士と更新手続き
行政書士には届出済行政書士という資格があります。入管に関する資格で、行政書士登録後に新たに取得するものです。この資格があると外国人本人にかわって入管手続きを行えます。入管という特殊な事情から、3年に1回の更新手続きと講習会があります。更新手続きをするには講習会を受けないといけないのです。いつもと違う?直面した危機
これまで参加した講習会は同窓会的な雰囲気でした。地元の行政書士が一堂に会するので、そこかしこで挨拶がなされ、世間話に花が咲いていました。しかし、名古屋会場に到着した私は、違和感を覚えます。明るい雰囲気ではないのです。首をひねっていたのですが、講習会冒頭のあいさつでその理由がわかりました。「皆様もご存じのとおり、この名古屋講習が、更新手続きにおける試験制度導入の第一回目となります。私ども…」
独り呆然とする私。「えっ。試験? 聞いていない。なぜ?」。慌てふためく私。動揺しながら頭を整理していきます。
制度改正により試験が課されることは知っているが、それは、2011年4月からのはず……。
まてよ、大震災の影響で、2011年3月の東京の講習会は中止。私の資格の有効期間は2011年4月末日まで。ただ、震災による特例で、2011年6月の名古屋研修会を受ければ、更新可能という扱いがなされる。そうか、更新の特例と試験の実施は、別物だったのか。
政府の政策を考えると入管業務は重要な業務へと発展していく可能性があります。
「試験に合格しないと、所属書士会に連絡。その上で、各地の講習会で再受験。一年以内にクリアしないと更新不可。つまり、資格の剥奪」という趣旨のアナウンスが、重たい言葉となって私にのしかかります。
「新幹線に乗って、わざわざ資格を失いに名古屋まできたのか」と失笑するしかありませんでした。明らかな危機に直面したのです。