賛否両論の日産リーフ、長所と短所は?
今まで電気自動車(EV)について様々な記事を書かせていただきましたが、今回は実際に電気自動車についての私の考えを書かせていただきたいと思います。私が電気自動車事業に携わってから約15年経ち、今まで電気自動車などを含む1,000台を超える自動車に試乗をしてきました。今回は特に注目されている電気自動車、日産リーフについて書いていこうと思います。
(図)日産自動車より日産リーフ
日産リーフの基礎情報
「日産リーフ」は2010年12月に、リチウムイオンバッテリーを搭載した量産型の電気自動車として発売されました。2014年1月末現在までに、その累計販売台数は世界で10万台超えを記録しています。これは世界中で走る電気自動車の中でも最大の販売台数です。リーフはもちろん100%電気自動車のため、走行中に排出ガスを一切出しません。リチウムイオンバッテリーと高性能モーターによる加速性能、高い安定性や静粛性などは、今までにない運転感覚をユーザーに感じさせます。
発売時の販売価格は約376万円、国からの補助金を用いても298万円と、一般的な自動車と比べて値段も高いものでした。しかし現在では、補助金を利用した最安値で約221万円(リーフ S)というガソリン車と遜色のない値段まで下げられています。この値段までくると、多くのユーザーにも求められ、次第に電気自動車も受け入れられるのではないかと私は考えます。
リーフの室内には、様々な実用性の高い機能が備わっており、広さとしては大人5人がくつろぐことのできる空間があります。電気自動車は、好きな場所にモーターとバッテリーを搭載できるため、小さな車でも広い居住空間を実現することができるのが特徴の1つです。
航続距離に関しても、走り方や使い方、使用環境などによって大きく変わりますが、車両自体をエコモードに設定し回生ブレーキの領域拡大やバッテリー制御の適正化を図ることで228km(JC08モード)という、かなりの長距離走行を可能としています。ブレーキ時にタイヤの回転で発電し、その電気をバッテリーに充電する回生制御の性能を向上させ、エネルギーの回収率を上げているのです。
また車両に最先端のITシステムを統合させることで、従来では考えることのできなかった機能を充実させ、車と社会をつなぐ機能を兼ね備えています。例えば、携帯電話などを使った車両のリモート操作や走行している場所近辺の充電場所や省エネルートの案内といった運転手へのサポート機能が挙げられます。
電気自動車の安全性に対する取り組み
リーフを始めとした電気自動車は、今までにないクルマだからこそ、その安全性に今まで以上に注力され、誰もが安心して乗ることができる電気自動車であるための対策が施されています。例えば、リチウムイオンバッテリーを守る車体構造に加え、バッテリーやモーターなどの高電圧部品には絶縁構造を採用したり、高電圧システムの遮断システムも搭載されています。バッテリーの状態をつねに把握し、過電圧、過放電、過熱をバッテリーコントローラーで制御することで、バッテリーの容量低下や故障を防ぐことができます。
また、特徴的な機能の1つとして車両接近通報装置があります。電気自動車は極めて静かに走行するため、歩行者の車両接近に対する認識を向上する必要があります。日産リーフは車両接近通報装置を搭載することで、一定の条件下において通報音が開始する仕組みになっています。
それらの機能を保有しながら、さらに実際に様々な使用環境を想定したテストを行うことで、確かな安全性をユーザーに示し、その信頼性を確保しています。例えば寒冷地での走行テストや冠水時の道路を想定した走行実験、また段差の衝撃に耐えうることができるように路面段差走行のテストや高圧洗浄に対するテストまで行われているのです。