学生時代のアルバイトは可能か?不可能か?
生活の為やお小遣いの為だけじゃない。アルバイトから理学療法士として最も大切な事を学ぼう!
しかし、そう考える一方で、アルバイトをする事に不安を感じる人も多数いらっしゃるようです。では、アルバイトをする事への不安は一体何でしょうか? また、アルバイトはお金目的だけでよいのでしょうか? 学生時代、臨床実習開始直前までアルバイトをしていた経験者として、学生時代のアルバイトの必要性について書かせて頂きます。
アルバイトへの不安は一体なに?
なぜ、アルバイトをするのが不安なのか? それは、「勉強についていく事が出来なくなるかもしれない」という気持ちがあるからでしょう。養成校に入学した目的は当然、理学療法士国家試験の合格。その為に勉強時間は削りたくないですし、アルバイトの時間分、睡眠時間を削ってしまい、授業中の集中力をなくしてしまうのは避けたいというのが本音でしょう。これを考慮してか、養成校の中にはアルバイトの禁止を明示している学校もある為、注意が必要です。この点は、オープンキャンパスなどでしっかり確認した方がよいと思います。
では、理学療法士の養成校に通った場合、勉強を重視し、極力、アルバイトはしない方がよいのでしょうか?
はっきり言いますが、この答えは「NO」です。
学ぶ必要があるのは専門的な勉強だけではない
アルバイトとは言え、社会に出て働き、その報酬としてお金を頂くということは、働くということを肌で感じることになります。それは将来、社会人になる為の実習みたいなものです。上司や同僚、後輩との関係性。お客との関係性。商品管理や売上の重要性。いろんな事を学び、いろんな出会いを経験するはずです。理学療法士という仕事は、その専門性ゆえに知識や技術ばかりに目が行きがちですが、最も大切なのは人間性です。人に関わる仕事なのに人と接する事が苦手では勤まらないですし、人の気持ちを理解しようという気持ちがなければ、リハビリテーションには繋がりません。
また、将来、理学療法士養成校に通う多くの人が医療介護業界に進むわけですが、その後に他業界を知る機会は限りなく少なくなると思います。自分が進む業界だけを知っていればよいという時代ではなくなった昨今、アルバイトをする事は異業種を知る大きな機会になります。
医療介護に限ったことではないですが、よく「自分が在籍する業界の常識は世間の非常識」と言われたりします。ひとつの業界の常識にとらわれていては、これからの時代、視野が狭くなるかもしれません。このようなことを述べるのには理由があります。
地域医療連携モデルの推進と在宅医療・在宅介護
国が医療費負担増を理由に、在宅医療などを推進している事は、今更、論じるまでもありません。ただ、勘違いしてはいけないのが、医療介護の現場が在宅のみにすり替わるというわけではなく、病院や介護施設も含めた、地域全体で医療介護の受け皿となりましょう。という方針であることを理解しないといけません。もともと、医療や介護はそうあるべきなのですが、地域社会と医療介護の関係性をより強調する必要がある世の中になったと言えます。そうなってくると病院や介護施設などだけが現場ではなく、今まで以上に、地域や社会全体が現場になるという認識が強くなるわけです。
今後、疾患や障害を持ちながら、在宅で生活をする方は増えていくと言われています。生活と一言でいうのは簡単ですが、実際は、人それぞれ多様な背景や環境があり、身体機能だけでなく、広く社会全体との関わりを考える必要があります。
そういった意味では、早いうちから医療介護以外の世界や、仕事と言うものに触れ、社会と交わり、多くの人と接する経験は大きな財産になると思います。これは机上の勉強では得られないものです。国家試験合格の為に勉強時間を重視するのは間違ってはいないと思います。しかし、先々、理学療法士として患者さんたちや、その家族とどう接していくのか? を考えた場合、アルバイトの経験は人間性を高める機会として必要なものと考えて頂きたいのです。
理学療法士国家試験合格だけを目的にするのではなく、さらにもう一歩、理学療法士としてより現場で活躍する人間性を養う為に、アルバイトは率先して行って頂きたい。心からそう思います。