各局で創意工夫ある番組作り
数年前から「散歩番組」が静かなブームになってます。以前から各局で地道に作られてはいたものの、注目度が高まったのはやはり、地井武男さんの「ちい散歩」が大きかったようです。
地井さんは天国への散歩に向かってしまわれましたが、地上では「ポストちいちい」の座をつかもうと、各局で創意工夫を凝らした番組作りが展開されています。そんな現状については、以前雑誌の取材でお答えしたことがあり、たしかウェブでも読めるはずなので、気になる方はチェックしてみてください。
そんな「散歩番組」がいつごろから始まって、今のような形になったのか? 意外と歴史のあるこのジャンルのルーツを探ってみたいと思います。
テレビの常識をくつがえしてスタート
そもそもテレビというのは、お茶の間にいながらにして、世界各地の風景を楽しめるというのが、魅力の一つでした。逆に言えば、誰もがぶらりと出かけられる散歩を、わざわざテレビで取り上げる意味がないと思われてたんですね。そんな思い込みを華麗に受け流して、1983年にひっそりと始まったのが「夜はクネクネ」という毎日放送制作の深夜番組でした。出演者は原田伸郎と角淳一アナウンサー。関西では今も語り継がれてるほどの人気番組でしたが、全国ネットではなかったので、地域によってかなり知名度に偏りがあります。
とはいえ、いま人気の散歩番組「もやもやさまぁ~ず」や「鶴瓶の家族に乾杯」にしても、「クネクネのパクリや!」と往年のファンからは一刀両断されるとか。確かにこの番組が与えた影響は多大なものがあります。中でも一番は、人とのふれあいが面白いと気付かせてくれたことでした。