年初来の株安でベア型が台頭
世界的な株安に見舞われた今年1~2月の2カ月間について、運用成績の良かった上位10ファンドを抽出してみたところ、ベア型投信が1、2、3、6位と、計4本ランクインしていることが分かりました。相場の下落局面でもリターンを追求
ベア型は、ブル・ベア型と呼ばれる投資信託の一種です。先物やオプションといったデリバティブ取引を用いて、特定の株価指数、債券、為替等の動きに強く正相関、または逆相関するよう設計されています。「ブル」とは雄牛のことで、角を下から上に突き上げて攻撃する姿を連想させることから、上昇相場を意味します。一方、「ベア」とは熊のことで、熊が爪を振り下ろして攻撃する姿を連想させることから下落相場を意味します。ベア型は、先物を売り建てることで、対象とする指数とは反対の動きをファンドの基準価額に反映させます。相場の下落局面においてもリターンを得られるのが、ベア型最大の特徴です。
なお、ブル・ベア型はデリバティブ取引を活用することでレバレッジを効かせ、投資資金の何倍もの投資効果を追求します。このため、基準価額の値動きが荒く、極めてリスクが高いのが特徴です。
長期保有には適さない、数少ない投資信託
例えば、ランキングで1位から3位までを占めた 3ファンドは、日々の基準価額の値動きが日経平均株価の値動きの概ね3倍程度となるよう設計されています。ご参考までに、レバレッジ3倍の日本株ブル型ファンドの基準価額と株価指数の関係を図に表してみました。投資信託でありながら、株の信用取引のように、少ない手元資金で高いリターンを追求できるという商品性をイメージしていただけるでしょうか。相場の下落局面においても、少ない手元資金で高いリターンを追求できるのがベア型の魅力ですが、明確な相場観を持っていないと、市場の動きが想定と異なった場合、一方的に損失が膨らむことになります。株式市場が当面下落するという明確な見通しを持っていない限り、ベア型を長期に渡って保有し続けることはお勧めしません。短い期間で着実に下落相場を捉え、ピンポイントでリターンを追求することこそがベア型の醍醐味と言えます。