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なぞの転校生:意外なルーツは同じ「転校生」の……(2ページ目)

テレビ東京系深夜の『なぞの転校生』、叙情的雰囲気のSFドラマで、アラフィフには懐かしい70年代作品、NHKの「少年ドラマシリーズ」を思い出させます。しかし、ルーツをたどるともう一つの『転校生』がありました。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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映画『転校生』も少年ドラマシリーズ的

筒井康隆原作の中で最も映像化(アニメも含む)されているのは『時をかける少女』でドラマ5作に映画4作。眉村卓原作では『ねらわれた学園』でドラマ4作に映画3作。
この二作が多いのは、大林宣彦監督作品の影響が強いということでしょう。

そう考えるとこの流れに「少年ドラマシリーズ」ではないけれど、大林監督映画で『ねらわれた学園』と『時をかける少女』の間に制作された『転校生』も入れた方がしっくりきます。

『転校生』の原作は山中恒の児童文学『おれがあいつであいつがおれで』。これは少年ドラマシリーズではありませんが山中恒原作は少年ドラマシリーズで4作あります。眉村卓、同じSF作家の光瀬龍と並び、シリーズ中最多です。

また「ぼくたちのドラマシリーズ」では『おれがあいつで……』原作の『放課後』(観月ありさ主演)を、「ドラマ愛の詩」でも同じ原作の『どっちがどっち』を制作。
他にも2002年TBSの「モーニング娘。新春! LOVEストーリーズ」では安倍なつみ主演で『時をかける少女』、同年の「モーニング娘。サスペンスドラマスペシャル」では吉澤ひとみ主演で『おれがあいつであいつがおれで』を制作。
だいたい少年ドラマシリーズ源流のものと『転校生』派生作は同じ路線であつかわれています。

ということを考えると『なぞの転校生』の叙情的でノスタルジックな作風は『転校生』『時をかける少女』の影響でしょう。


光瀬龍原作はリメイクされない

もうひとつ、少年ドラマシリーズのジュブナイルSF作品を調べていて不思議だったのは光瀬龍原作作品。『暁はただ銀色』『夕ばえ作戦』『明日への追跡』『消えた町』と4作も原作があり、当時も人気だったのに筒井康隆、眉村卓作品と違って、なぜリメイクされないのか?

これも大林宣彦監督作品でリメイクされなかったからその後が続かなかった、と考えるとスッキリします。『夕ばえ作戦』は今は笑点の座布団運び、山田隆夫主演。シリアス作品が多い少年ドラマシリーズのジュブナイルSF路線のなか、当時からコミカルだった山田隆夫の持ち味を活かしていておもしろかったんですけどね。

 
ちなみに少年ドラマシリーズのリメイクは『なぞの転校生』の後も続き、今夏に映画版『幕末高校生』が玉木宏、石原さとみ主演で公開予定です。

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