子を持つ世帯の3割が教育資金ゼロ!?
出遅れを取り戻すにはどうすれば……
しかし、すべての世帯が計画的に準備しているわけではなさそうです。金融広報中央委員会が毎年発表する「家計の金融行動に関する世論調査」の平成25年版によると、世帯主夫婦と子どものみの世帯のうち、金融資産(預貯金、投資・保険商品など)を保有していない割合は、実に30.3%。この場合、子どもはすでに社会人という世帯も含まれているでしょうが、それを差し引いても、必要な教育資金の準備を進めていない世帯が少なくないことが推測できます。
では、教育資金を貯められず、子供が小学生、中学生になってしまった、いわば「出遅れ世帯」はどうすればいいのでしょうか。ポイントは2つあります。まずは、必要額を把握すること。教育資金について、ただ漠然と不安を抱いているだけでは解決にはつながりません。準備すべき額がわかれば、そのための貯蓄プランが立てられます。
具体的に額を示してみましょう。あくまで平均値ではありますが、高校までは公立、大学を私立文系の進学コースで、ざっと900万円。この金額には、習い事や進学塾などの学校外費用も含まれています。しかし、高校まで公立であるなら、それまでに発生する教育費は家計の中でやりくりし、事前に準備しておくべきは大学費用(できれば卒業までかそれに近い期間の学費)と考えてください。国公立か私立か、あるいは学部によっても学費は大きく異なりますが(表参照)、大学入学までに「少なくとも300万円」がひとつの目安となるでしょう。
資金プランには柔軟性を持たせる
もうひとつのポイントは、準備すべき額に縛られないということです。何だか先の話と矛盾するようですが、仮に子供が中学1年生の場合、準備期間は6年間。それまで教育資金を貯められなかった家計にとって、その間に300万円を新たに用意することは決して容易ではありません。無理に資金を教育費にシフトし、そのため家計が毎月赤字では本末転倒です。大切なのは、家計のバランス。もちろん、教育資金づくりのため、家計を見直す、より節約を意識するということは必要でしょうが、それでも当初の貯蓄プランがきびしくなってきたら、積立額を減額するなど柔軟性を持たせるべきです。
結果として、大学に行く費用が足りなくなったら、どうすべきか。奨学金利用は子どもに大きな借金を負わせるわけですから、安易に勧めたくはありませんが、ひとつの選択肢ではあります。たとえば、大学入学までに150万円は用意できたなら、残りは奨学金でという方法もあるでしょう。また、大学が独自に返済免除の奨学金制度を実施している例も少なくありません。ともあれ、時間を掛け、子どもとの話し合いや情報収集を行ってください。