気になる民法の記述
気になるのは民法の記述です。配点は40点。憲法と商法・会社法の二科目の五肢択一に匹敵する、重要科目です。その民法の記述の傾向が少し変わりつつあるように思います。平成23年の問題をみたときに感じたのですが、法科大学院のカリキュラムが問題に影響を与えていると思います。平成25年の問題は、それほど強い印象を受けませんでしたが、少しずつ変わりつつあると思います。
ただ、傾向が変わったとしても、要求される知識のレベルがあがっているわけではありません。問題文の切り口が変わってきたと表現した方がよいかもしれません。
今後の対策を考える
行政書士試験は、司法試験や法科大学院などの影響を受けて変わってきました。その結果、10年前とは比べものにならないほど難しい試験になりました。そのせいでしょうか、「いっそのこと司法試験教材を使って勉強するべきなのでしょうか」という質問を受けます。一つの方法だとは思います。本年度は、出典が学者の書いた教科書(基本書)ではないかと思われる問題があります。この教科書は司法試験受験生が多く持っているであろう本です。
これらの本を使うことによって出題範囲を網羅できる可能性は高まりますが、あまりに非効率的です。見比べるとわかりますが、司法試験の問題とはレベルが違います。ですから、司法試験教材をそのまま使うのは非効率です。
予備校はその点を踏まえて授業を展開します。勉強量を最小限に減らす努力を常にしています。それでも、受講生にとってはかなり負担を強いることになります。
独学の方は、予備校の教材を主教材として使用しながら、司法試験においても定評のある教科書を基本書として勉強を進めていくことになるでしょう。ただ、行政書士試験の過去問をよくよく検討して軌道修正をしていかないと、合格までに長期間を要することになってしまいます。
いずれにせよ、予備校利用者、独学者も、今後の対策として大事なことは、過去問を意識した勉強です。今年の問題は、過去問をベースにした基本的問題が多かったように思います。これは試験委員からのメッセージではないでしょうか。
ただし、過去問を覚えても合格はできません。過去問の出題頻度、ひっかけ方、出題の変化などを意識してください。そうすると、行政書士試験の傾向が見えてきます。これが見えてくれば、合格まで遠くありません。それこそが、試験委員が要求する知識や思考ということなのだと思います。
なお、当該記述は、個人的な見解であり、関係する予備校の見解ではありません。