はじめに
平成25年度行政書士試験の発表が1月末日にありました。合格者からの情報も参考にしながら、平成25年行政書士試験を分析して、今後の行政書士試験について考えてみたいと思います。初めての合格率10%越え
財団法人行政書士試験研究センターの発表によれば、受験者は55,436名で、10年間で最も少ない人数でした。一方、合格率は10.10%で、ここ10年間で初めて合格率が二桁に達しました。なお、平成18年の新試験制度に移行してから、合格率は8%前後で推移しています。ところで、行政書士試験は絶対評価の試験です。一般知識4割、法令科目5割、全体で6割の基準点を越えることが合格基準です。しかし、受験業界では、新試験は合格率10%を切るように設定されていると言われてきました。つまり、絶対評価を大原則としつつも、上限を10%未満とするようにする「調整」が働くのではないかということです。
択一・多肢選択式は採点に裁量の余地がないので、採点に裁量が生ずる記述式で「調整」が働くのです。「調整」とは、記述の採点を「厳しくする」という意味です。
やはり厳しかった記述式の採点
平成25年度は調整が行われた年といえます。採点の結果を聞くと、印象として、例年より10点前後低い印象を受けます。やはり、記述の採点が厳しい年でした。おそらく今後も、このように絶対的評価を維持しつつも、実質的相対評価で上限を画することは続いていくでしょう。
本試験のレベルは
ここ3年、合格者は5000人前後で推移しています。
一方、一般知識は易しかったように思います。合格者の方は14問中10問以上正解するなど、高得点をとっていらっしゃいました。
このように、平成25年度、択一式・多肢選択式は、比較的易しかったと思います。そこで、記述で「調整」が行われたのでしょう。行政書士試験の難易度は、ここ数年安定してきたように思います。この傾向は、平成26年度以降も続くと思われます。