ヒールワークを教えてみよう!
はじめは、犬なしで自分自身のタイミングをつかむ練習を。写真のように目印となる紙コップなどを等間隔に数個並べ、その横を歩きながら(止まらず)、コップの横に来た瞬間に、クリッカーを鳴らします。
クリッカーを鳴らした後は、すかさず犬にトリーツをあげるつもりで、反対の手を真横に出します。トリーツを与える手は、あくまでも体の真横。それが前の方になってしまうと、犬に前へ出すぎる癖をつけてしまうことになりますので注意を。
自分のタイミングがつかめたら、次に、愛犬と一緒に、並べた紙コップに沿って歩けるように練習を。パートナーと一緒に紙コップに沿って歩き、紙コップの横でリードが緩んだ状態になっていたなら、クリッカーを鳴らし、トリーツを与えます(真横で)。ただし、最初のうちは、このように犬が前に出過ぎてしまってもかまいません。
上の写真のように、犬が前に出すぎ、リードを引っ張った状態で歩く場合には、人はその位置で止まり、リードが緩む、または、犬が戻って来るまで待ちます。リードが緩んだら、クリック&トリーツを。その時、トリーツを与える手は、しつこいようですが、体の真横で。
犬がヒールのポジションに戻ったら、もちろんクリック&トリーツ。つまり、ヒールポジションになるまで、シェイピングをしていくわけです。ヒールポジションに戻るように、ハンドターゲットを使ってもOK。最初は何を期待されているのかわからず、リードが張ってしまうかもしれませんが、この方法を繰り返すことで徐々に犬も理解できるようになります。
前に出すぎず歩けるようになったら、きちんとヒールポジションで歩けるように練習してみましょう。なるべく止まらずに歩き、紙コップの横に来たら、クリック&トリーツ。この時、すでに身についているはずの“ルック”というキューを併用するのもいいでしょう。
だんだんと仕上がってきたら、次に紙コップの数を減らし、それぞれの間隔をあけていきます。
ヒールポジションで歩けるようになったら、オモチャなどの誘惑物を使った練習もしておきます。最初はオモチャを置いて、次にオモチャを転がす……など、緩やかな誘惑から始めるようにします。
犬が誘惑物(この場合オモチャ)から視線をはずし、こちらを振り返ったらクリック&トリーツ。これを強化していきます。最初はヒールポジションでなくてもOK。だんだんにヒールポジションになるようにシェイピングを。
「リードは長めのものを使うといいでしょう。写真のように、肩に掛けられるタイプのものだと両手を使うことができます。はじめは、邪魔の入らない静かな環境でトレーニングを開始してください。じょじょにいろいろな環境でヒールポジションがとれるように練習するといいですね。犬がミスをしたとしても叱らないこと。それではトレーニング自体に嫌なイメージをつけてしまいます。トレーニングが楽しいものと犬にインプットさせるようにしましょう。トリーツは、特に好物のおやつなどを使うと効果が高くなります」(山田さん)
鳩もクリッカーに興味津々
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クリッカーは様々な動物に応用することができる。 |
この取材中、実は山田さんとガイドの周りには二羽の鳩がいました。クリッカーを使っての撮影を始めた途端、その鳩が山田さんの足元に寄って来て離れません(笑)。クリッカーの音にたいへん興味を持ったようで、その様子は、クリッカートレーニングが犬のみでなく、多くの動物に応用できるということをふと思い出させてくれたシーンでした。
クリッカートレーニングは、その基礎さえ理解できれば、工夫次第で様々なトレーニングに応用が可能です。是非、愛犬との生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
【関連記事】
⇒クリッカートレーニング-1(基本)
⇒クリッカートレーニング-2(タイミングと観察力の身につけ方)
⇒クリッカートレーニング-3(キューのつけ方)
⇒クリッカートレーニング-4(シェイピングについて)
⇒クリッカートレーニング-5(ターゲット・トレーニングについて)
⇒クリッカートレーニング-6(エモーショナルシグナルについて)
⇒クリッカートレーニング-7(ターゲットスティック/ダウンを教える)
【関連サイト】
PRAISE TOUCH(『プレイズタッチ・パートナーズ』公式ウェッブサイト)
RICO’S CANINE MASSAGE SCHOOL(山田さんが主宰するスクールのサイト)
RICOSホームページ(山田さんの活動に共感された企業がRICOSブランドを展開)